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「じゃあ、えーこれで大体の説明は終わりだ!」
「はい!」
「そして、もう1箇所最後にまぁ、なかなか行くことは無いとは思うが…」
そう看守が言うと次々に何処ですか?やはい、と返事が返ってくる。
あぁ、きっと
「鍵が必要な所に連れてってくれるんだ?」
「スペースマウンテンか?」
そう期待の声を8番さんが漏らす。まだここのことを遊園地か何かだと、思ってるんだろう。
「この中…何て書いてある?」
「あれ?独房!」
「ど、独房!?」
「えー、本当に…問題児は…ここに拘禁するから!いいな?」
チラ、と私の方を見る限り私に対しても厳重に警戒しているんだろうな。1度ここに入ったことがある身だから分かる事だ。
この独房では外に出ることも、刑務作業も自由時間も無い。ただ空虚を眺めながら与えられた飯を食べるだけ。
「先にこの8番入れといた方がいいかもしれない!」
「いやいやいや、何言ってんすか!この…何番お前、ごめん…ごめん6番!
6番入れた方がいいですよ!」
「出た〜この番号覚えられない人!」
あぁ、確かにそういうの覚えるの苦手そうだもんな、8番さん。私も苦手だわ。
「いいか?まぁ…ここになるべく入らないようにな、しっかりと!刑務作業に励むように!」
「善、善徳を積む?でしたっけ?」
「善徳を積む…」
「もうね…良い行いしかしません!本当に!」
本当だろうか、満面の笑みを浮かべながら8番さんはそう言う。
「よし!じゃあ、付いて来い!」
そういい独房の扉から出ると、8番さんが口を開く。
「まだ信用されてない!ここからよここから!」
「されてないね!」
「ここから信用度上げて、信頼度上げて、
デートイベントとかこなしていかないと!」
『今度は乙女ゲームですかね、ふふ。』
きっと他囚人の気を紛らわそうとしているんだろうな。出来るだけ負担を減らそうとしてる。
「よし!じゃあ…一旦中に戻ってもらおう!
ちなみに8番…、俺の名前は何だ?」
ステイサム看守がそう言うと、しばしの間沈黙が訪れる。
「ステイサム!」
「お、よく覚えてたな!」
心做しか看守が嬉しそうな表情をする。
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作者名:胃酸先生。 | 作成日時:2021年6月17日 22時