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side_囚人番号5番
パァン、という発砲音で目が覚める。壁の小さい窓を見てもまだ外は暗いのに、何を騒いでいるんだろう。
「怖いこ…ねぇねぇねぇねぇ…ねぇねぇねぇ!」
「看守怒らしたら怖いぞ!」
「危ない危ない危ない!何してるの?」
「カシャンってリロードしないで…」
『………。』
そっと鉄格子の外を覗くと、ステイサム看守が拳銃を構えて立っていた。なんだ、侵入者か?
「今日はひとまずここで休んでもらって明日、この刑務所内の説明を行う!」
あー、なんだ。隣が騒がしいと思ったら新しい囚人さんでも来てたのか。
「一応、9番はもうこの中を知ってるとは思うが、まあ一応!」
「はい!その通りです!はい!看守!」
9番さんの声が若干ステイサム看守の声に被り、ふふふっと笑う新人囚人さん達。
「よし!じゃ…今日はゆっくりここで休むように!」
「なんか仲良くなってない?大丈夫?」
「なんか仲良いんだよな…」
「お疲れっす、お疲れっす!」
そう囚人さん達の声を無視するようにステイサム看守は出ていった。
「おい!どうなってるんだ死神!」
知らない男性の声が聞こえる。若い青年の声だ。
「え〜てか、何で2人は牢屋にいるんですか?」
もう1人の声だ。女の人のようだけど、名前が物騒だな…、というか、少年っぽいというか、そんな感じ。近所で野球のボール拾う指示出してそう。
「俺は、クロノアさんがあの、捕まったという情報を手に入れて!潜入しようとしたら捕まった!」
そう言うと小さく馬鹿じゃんと呟く少年の声。いや君もまともな理由で捕まってないでしょ多分…。
「そう、俺前回の脱獄の時に土砂崩れで…巻き込まれちゃって!」
「え?はい…」
「で、気が付けばここにね…」
『確かにそうでしたね。9番さんが初めてここに来たときは全身ボロボロで吃驚しましたよ。』
「「?!」」
私が控えめにそう声を出すと、知らない2人が驚いたような声を出す。
「え?えっ?誰?誰誰誰!」
「えっ?幽霊!?もしかして!」
「あれ、Aさん起きてたんだ。」
『えぇ。ステイサム看守の発砲音で起きてしまいまして。
…お仲間さんなんです?お2人は。』
「はい、大切な友達ですね。」
そう言った9番さんの声は私が聞いた今までの声より優しく、滑らかな声をしていた。
「ええと…5番さん、かな?とりあえず状況確認するから5番さんの話も後で聞かせて貰えますか?」
『ええ、いいですよ。』
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作者名:胃酸先生。 | 作成日時:2021年6月17日 22時