胃袋を掴んでしまった、という話。【rbr】 (ページ26)

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じっしょくページ26

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ピンポーンとインターホンを鳴らす。聞き覚えのある声が、はぁいと返ってくる。

『あ、丸田です…。お、お昼手前なので、来ましたぁ。』

「"はーい、すぐ行きます〜。"」

すぐにガチャっと開いた扉。昨日とは違う、くすんだピンクのカッターシャツを来ている天乃さん。私の手元を見た途端、えっと驚いた。

『ど、どうかしました？』

「あ〜いや〜…、実は自分の友達に買い出し行かせてて…。料理してもらって、材料まで出さすのあれやしって思ってたんですけど…マジかーすいません…。」

『あっ、全然！ぜ、全員の分も、作る予定でしたし…！だ、大丈夫ですよ！』

すいませんホンマに〜…とよそよそ歩く天乃さんの後ろをついていく。2度目の入室だが、なんだか慣れない。

リビングへと進むと、ソファーに腰かけた男性が、こちらに向いてこんちわ、と小さく挨拶した。
…あれ？

『さ、さっき、野菜のコーナーにいた人、で、ですか？』

「…えっ？俺ら会いましたっけ？」

『えと…で、電話してらっしゃって、トマトがどうとか…。』

「あ〜〜！あん時居はったんですね？いやあ、電話に夢中やって…背ぇ高いですね！！あれっ、呂戊太？？」

ここにいますぅ！！とおっきな声で天乃さんがそう言う。耳痛…。
とりあえずキッチン借りますとそちらへ行き、置かれたスーパーの袋の横に私のエコバッグを置く。

よし、気に入ってもらえるよう、頑張ろう。

作ったのはトマトコンソメスープと、サンドイッチ(きゅうり入り)。
沢山食べて貰えるかわからなかったので、残りはまだ挟まず置いたまま。スープも人数分しか作っていない。作ってと言われたらサッと作ることは出来るので問題は無いが。

『で、できましっ、わっ』

後ろを振り返り、呼びかけようとすると机から顔を出している友人さんが。
首を傾げどうかしましたかと聞くと、美味そうな匂いがすると彼はそう言った。

「やから言ったやろぉ？匂いだけじゃのうて味も美味しいからな！」

『お、お口に合えばですが…。』

お皿に乗せたサンドイッチを彼は手に取る。よく時間が無い時に作る、スクランブルエッグとマヨケチャとベーコンときゅうりを使ったサンドイッチ。きゅうりはなるべく薄く切ったから、食感も青臭さもないとは思うけど…。