第五話 蒔いた種 ページ7
かけていく足音が、止まるのが聞こえた。
「A。」と、名前を呼ばれる。
まさか、話しかけられるとは思わなかった。予想の180度違くて、正直驚いた。
『…訓練中よね。』
「せやけど。ええやろ、話程度やったら。」
『私はそうは思わないわ。
副隊長に怒られる前に行った方がいいわよ。』
「俺は、お前と話がしたいねん。副隊長なんかどーでもええ。」
…はぁ、だから疲れるんだ、この人は。我が強くて、強引で。めんどくさい人。
『…なに、楽しく世間話でもする気？』
「嫌なの顔に出てんで。…せやなあ、何話そうか。」
……はぁ。
『生憎だけど、こっちは話そうなんて気持ち1ミリもないの。ましてやお気持ち程度の世間話。
私に話しかけるのは業務連絡だけにしてちょうだいと、前にも言ったわよね。』
「……せやけど。」
『分かってるならもうやめて。私とっては迷惑でしかないから。』
くるりと体の向きを変えて、歩き出す。カツカツと、ヒールの高い音が鳴った。
「…仲直りしたいって、そう思ったらあかんのか。」
ふと、足が止まる。横目で見た彼は、拳を固く握りしめ、顔を俯かせていた。
『……仲直り？笑わせないで。そうしなかったのはあなた達でしょう。目を眩ませ盲目になったのも、私を悪役に仕立て上げたのも、全部あなた達。戻れなくなったのは、自分達の所為でしょう？
あの女が居なくなっても変わらないのね、あなた。』
本当に反吐が出る。
いい加減にして欲しいと、その場を去った。
以前の彼は、私がそう言ったら笑顔で承諾しただろうか。
無論、答えはNOだ。あの冷酷無情の男が、好き好んだ女以外に優しくするだろうか。
前のように仲良くしたいと思っていても、話したいと腕を掴んでも、彼はそれを全て振り払って女の腰を引いたから。
……ああ、もう。うざったい。変な思考はやめにしよう。
考えても無駄なことは考える必要も無い。
彼はそうしようと思ったまでで、私もそれに沿って行くだけ。
…これからは会話も減らした方がいいかしら。生産性のない会話は私を苛つかせる動機にしかならないもの。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
