第四十話 残るもの ページ42
カツンカツンと、高い音が反響する。
エーミールが言った、彼はほかの兵士より格段に力の差があるという言葉。
『ごきげんよう。』
薄暗い檻の中を見ると、確かにそこには姿がある。鈍い動きをして、やっとこちらを見た。
『腹が空いているのでしょう。食事を持ってきたわ。』
「…いらん」
『あら、そう。うちの優秀なシェフが丹精込めて作ったというのに、残念。』
「……何が、したい、貴様らは」
水もろくに飲んでないせいで声もカサカサ。聞き取れてることが奇跡…というか、生きていることが奇跡ね、本当に。
『あら、別に私は意思はないわよ。あなたを連れてきたことに賛成はしたけれど、別にあなたがどうなろうと、どうだっていい。ただ私はあなたが言うことを聞けないのなら、殺せばいいと思っているわ。』
「………。」
『だって、一兵士でしょう。それに今はまだ敵同士。殺したってそんな大事になる訳でもないし、逆に英雄と称えられる。』
「…それが、望みか」
『少なくともあなたが死ぬ方を選ぶのなら、ね。』
エーミールから伝えられたことは、彼を説得すること。私の話術で、どうにかして欲しいということ。
別に殺しても構わないだろうと思ったが、彼らがそれほどこの人に執着するということは、何かあるんだろう。その先にあるものは綺麗なのかは知らないが。
「…自国を裏切るぐらいなら、俺は、死を選ぶ」
男は、覚悟を決めた顔だった。
『そう。じゃあ死ぬ前にお話しましょうか。』
「……は？」
『今手持ちにあなたを殺せそうな道具は無いし。私が処罰を下さなくても、誰かがきっと下してくれるだろうからね。』
壁にもたれかかり、彼を見る。以前見た鎧の姿ではなく、所々見ると包帯が巻かれており、しんぺい神が無理言って手当てでもしたのかなと、そう思う。
『というか、そもそもE国は滅んでいるのよ？傀儡化もあったかもしれないけれど、酷いことをするものだから、ねぇ？』
腕を捲ると、至る所に包帯や湿布が貼られていた。男は目を逸らす。
『あなたは今、何を信じているの？』
「……。」
E国が滅んだ今、彼の中には何が残っているのかしら。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
