落ちた鬼灯。【OP】 (ページ11)

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「うーんん、パウリーは犬さんですね、わんちゃんです。」

「えっ俺…犬？？虎とかじゃなくて…？？？」

「わんこです。」

ガビーン。効果音がつきそうなほどパウリーは顔を下に向けた。あーあ、モード入った。誰もが多分そう思っただろうと、カクは足を組み直した。

だがまあ、面白いことが聞けそうだとAへなぜそう思ったかをカクは聞く。

「なんで、なんでかぁ…えっと、普段は優しいけど、酷いことをする人が出てくると、ものすごくかっこよくなる、から？」

分かんないですとからから笑い、再び手に持っていたグラスの酒を口へと運ぶA。それを聞いて嬉しかったのか恥ずかしかったのか、パウリーは赤かった顔をさらに赤くする。

『ポッポー、顔が赤いぞパウリー』

「るっせェ！酒のせいだバーーカ！！」

『唾を飛ばすなバカヤロウ』

そんな様子をよそに、カクはにこやかにAの方を向き直す。わしはなんじゃ？と興味津々で。

「んんー、カクさんはきりんです。」

「おお、麒麟か！麒麟は大好きじゃ！」

カリファさんは羊、ブルーノさんは牛さんですね、と聞いては無いが次々と言うAの話が、何となく子供じみたようでカクは好きだった。かつて存在することのなかった、幼少期の甘えが、今出ているような気がして。

「じゃあ、ルッチはなんじゃ？」

「へっ、どうせこいつだって狂犬だぜ。俺と同じだぞ、べー。」

『アホらしい。ポッポー！』

Aはじーっとルッチの顔を見る。なんの動物か考えているのか、短い静寂が流れた。猫とでも思われてんじゃねェか、とパウリーが冗談を言うもので、その頭にトンカチが振り下ろされた。

「…あっ、豹、豹ですね。レオパルド。」

何かに似てると思ってたんですよと、Aは合点が言ったかのように手をぽんと合わせた。＿＿Aと、パウリー以外が、しんと静まる。

「ええーっ！こいつが豹！？俺は犬なのにぃ？！」

「あ、あわ、えっと、目、目がかっこいいなぁって思ったので、ううんと、」

「…いやぁ！実はわしらも似とると思うとったんじゃ！Aもルッチのことが怖いと思うてたと！」

「あえっ、ち、違いますよっ！？る、ルッチさん誤解しないでくださいね…！」

分かっていると頷いたルッチ。＿＿その首筋には、焦りの滲んだ汗が一筋流れていた。