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翌朝。
僕はAと一緒に、河辺へと機材を運び出していた。
ゴーグルに白衣の実験用の服装に、彼女から貰ったマフラーを着けて。


「本日は晴天なり!基次郎、今日は丸一日晴れだと良いな!」


「うん、そうだね」


見上げた空は、悲しいまでに晴れていた。
天気が変わって雨が降りでもしたら、彼女はロケットを打ち上げるのを諦めるだろうか。そんな考えが頭の中をよぎった。


「なぁ、基次郎」


ぼんやりと空を眺めていた僕に、彼女が話しかけてきた。


「ごめんな」


彼女の顔が、悲しさと申し訳無さを混じり合わせた色で染め上げられていた。


「本当は、お前と一緒に私の故郷へ行きたかった」


「……今更、何を云い出すんだよ」


「……ああ、今更だな……如何して、このロケットを設計した時は『後に為ってから、お前を迎えに行けば良い』と思っていたのに……私は何故今更、お前と離れる事を辛く感じるのだろう……」


「判らない。感情なんて、そんなものだよ」


「そんなもの、か――」


Aは、僕の方に潤んで輝く瞳を向けてきた。


「基次郎!『そんなものだ』と考察することを放棄することは、進歩の可能性を捨て去ることと同義だ!」


彼女の声はやや聞き取りにくく、半ば自棄に為っている様にも聞こえた。


「だからな、だからな――宇宙大元帥の外交大使よ!如何なる時も、疑うことを忘れず、探究心を持ち続けるのだ!判ったな!」


「――はい!承知しました、宇宙大元帥閣下!」


「よし、良い返事だ!」


では、作業を再開する!と彼女は叫んだ。
もう絶対に後戻りはしないだろうし、僕だって、最期まで彼女の為に尽くす心算だ――

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 梶井基次郎 , 宇宙大元帥   
作品ジャンル:SF
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七海の狐(プロフ) - 面白かったです!!あ、後、苗字が同じでびっくりしましたwこんな文豪さんがいるんだ…… (2018年9月12日 16時) (レス) id: 65efb440a8 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ノアの方舟さん» 過去捏造は二次創作の基本です。梶井の過去が明かされるのはいつの日か…… (2017年8月18日 7時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ノアの方舟(プロフ) - 読みました!とても自分好みで面白かったです!こんな感じの本が出たらなぁと切実に思いました! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 2532ff5de4 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ(プロフ) - キューブさん» それはむしろ嬉しいのですが…← 喜んで!← (2017年6月21日 6時) (レス) id: 13e2718d47 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ねここさん» 気付いてしまいましたね……そんな貴女は残念ですが、宇宙大元帥の部下になっていただきます(嘘) (2017年6月20日 18時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キューブ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年3月6日 14時

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