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僕はAに向かって叫んだ。そしてそのコンマ数秒後に後悔した。
今のって、若干告白(プロポーズ)っぽかったような……


「基次郎……」


「あ、いや、その、別に付き合って欲しいとかいう気持ちは無くて」


「お前は寂しがり屋だな」


「はぁ!?」


云うほど寂しがり屋ではない、と自覚はしている。
そう独白していると、彼女が笑って、冗談だ、と云った。


「……まあ、私が出発してしまえば、暫くお前とは会えないだろうな。こんな辺鄙で通信機器もろくに無い惑星では、連絡を交わす事さえ出来んだろう」


そう話す彼女の顔は、何処か寂しげだった。
矢張り彼女も――


「そうだ、基次郎!」


彼女の顔に浮かんだ翳りは一瞬で消え失せ、見慣れた笑顔に変わった。


「お前に伝えねばならんことがある!」


「……?」


「お前は私の補佐官だ。しかし、私が此の惑星を離れたら、お前に補佐官の務めを果たしてもらうことは難しくなるだろう……そこで、だ!」


彼女は僕の方に人差し指を向け、明朗な声で宣言した。


「梶井基次郎!お前の役職を『銀河帝国宇宙大元帥補佐官』から『銀河帝国外交大使地球特派員』に変更する!」


「……外交大使、って……」


「此れは一時的なものだ!何時か必ず、お前を我が故郷へ連れて行ってやる!その時まで、地球に留まり、科学者としての務めを果たすのだ!」


「……結局は、僕を置いていくってことですよね?」


「仕方ないだろう。ロケットは一人乗りで設計したのだから」


現実を受け入れなければならないのか。
不機嫌な気分になっていると、Aが僕に声をかけた。


「……お前、私がお前の事を忘れるのではと心配しているのではあるまいな?」


「……」


「心配するな。私は約束は守る主義だ!」


僕が返す言葉を探していると、彼女は首に巻いていたマフラーを外し、僕の首にかけた。
触ると温かく、彼女のぬくもりが伝わってくる。


「それはな、私が此処に来る前に貰ったマフラーだ!私が再び此処に来る時まで、失くすんじゃないぞ!」


「……うん」


「ああ、そうだ。帰ったらお前の任命書を書き直さなくてはな!基次郎!いったん帰るぞ!」


彼女が僕の手を引っ張って駆けだした。
その手は、マフラーと同じくらい温かかった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 梶井基次郎 , 宇宙大元帥   
作品ジャンル:SF
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七海の狐(プロフ) - 面白かったです!!あ、後、苗字が同じでびっくりしましたwこんな文豪さんがいるんだ…… (2018年9月12日 16時) (レス) id: 65efb440a8 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ノアの方舟さん» 過去捏造は二次創作の基本です。梶井の過去が明かされるのはいつの日か…… (2017年8月18日 7時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ノアの方舟(プロフ) - 読みました!とても自分好みで面白かったです!こんな感じの本が出たらなぁと切実に思いました! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 2532ff5de4 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ(プロフ) - キューブさん» それはむしろ嬉しいのですが…← 喜んで!← (2017年6月21日 6時) (レス) id: 13e2718d47 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ねここさん» 気付いてしまいましたね……そんな貴女は残念ですが、宇宙大元帥の部下になっていただきます(嘘) (2017年6月20日 18時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キューブ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年3月6日 14時

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