101011 ページ42
僕はAに向かって叫んだ。そしてそのコンマ数秒後に後悔した。
今のって、若干
「基次郎……」
「あ、いや、その、別に付き合って欲しいとかいう気持ちは無くて」
「お前は寂しがり屋だな」
「はぁ!?」
云うほど寂しがり屋ではない、と自覚はしている。
そう独白していると、彼女が笑って、冗談だ、と云った。
「……まあ、私が出発してしまえば、暫くお前とは会えないだろうな。こんな辺鄙で通信機器もろくに無い惑星では、連絡を交わす事さえ出来んだろう」
そう話す彼女の顔は、何処か寂しげだった。
矢張り彼女も――
「そうだ、基次郎!」
彼女の顔に浮かんだ翳りは一瞬で消え失せ、見慣れた笑顔に変わった。
「お前に伝えねばならんことがある!」
「……?」
「お前は私の補佐官だ。しかし、私が此の惑星を離れたら、お前に補佐官の務めを果たしてもらうことは難しくなるだろう……そこで、だ!」
彼女は僕の方に人差し指を向け、明朗な声で宣言した。
「梶井基次郎!お前の役職を『銀河帝国宇宙大元帥補佐官』から『銀河帝国外交大使地球特派員』に変更する!」
「……外交大使、って……」
「此れは一時的なものだ!何時か必ず、お前を我が故郷へ連れて行ってやる!その時まで、地球に留まり、科学者としての務めを果たすのだ!」
「……結局は、僕を置いていくってことですよね?」
「仕方ないだろう。ロケットは一人乗りで設計したのだから」
現実を受け入れなければならないのか。
不機嫌な気分になっていると、Aが僕に声をかけた。
「……お前、私がお前の事を忘れるのではと心配しているのではあるまいな?」
「……」
「心配するな。私は約束は守る主義だ!」
僕が返す言葉を探していると、彼女は首に巻いていたマフラーを外し、僕の首にかけた。
触ると温かく、彼女のぬくもりが伝わってくる。
「それはな、私が此処に来る前に貰ったマフラーだ!私が再び此処に来る時まで、失くすんじゃないぞ!」
「……うん」
「ああ、そうだ。帰ったらお前の任命書を書き直さなくてはな!基次郎!いったん帰るぞ!」
彼女が僕の手を引っ張って駆けだした。
その手は、マフラーと同じくらい温かかった。
ラッキーアイテム
新書本
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーSF
星を継ぐ者
44人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
七海の狐(プロフ) - 面白かったです!!あ、後、苗字が同じでびっくりしましたwこんな文豪さんがいるんだ…… (2018年9月12日 16時) (レス) id: 65efb440a8 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ノアの方舟さん» 過去捏造は二次創作の基本です。梶井の過去が明かされるのはいつの日か…… (2017年8月18日 7時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ノアの方舟(プロフ) - 読みました!とても自分好みで面白かったです!こんな感じの本が出たらなぁと切実に思いました! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 2532ff5de4 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ(プロフ) - キューブさん» それはむしろ嬉しいのですが…← 喜んで!← (2017年6月21日 6時) (レス) id: 13e2718d47 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ねここさん» 気付いてしまいましたね……そんな貴女は残念ですが、宇宙大元帥の部下になっていただきます(嘘) (2017年6月20日 18時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年3月6日 14時