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爽やかな檸檬の香気の中、仰向けに倒れていた僕は、今自分が何処に居るのか判らなかった。
天国か、極楽浄土か――それはないな。僕はきっと、地獄あたりの罪人だろう。倒れたままの体勢で、一度瞬きをしてみた。空は黒と赤の斑模様だった。
空？――違う、あれは天井だ。こんな悪趣味な色合いの天井、一体何処のだろう？
ぼんやりと考えていると、何処からともなく鉄臭いような、生物の一部が炭化したような、今までに嗅いだことの無い臭いがした。不思議と、不快には感じなかった。
ゆっくりと起き上がる。その時、僕の服に焼けた跡が付いているのに気づいた。しかし、僕の体に火傷は一つもない。不審に思いつつ辺りを見回した。
僕の周囲には、人間だったものが三つ、落ちていた。
「……チヨ……？」
僕の声に返事をしてくれた人は居なかった。
もう一度、僕の隣にあった屍体を眺めた。
その黒髪は間違いなくチヨのものだった。
「チヨ……」
彼女の体を揺り動かすが返事はない。彼女の腕をつかんだ。
脈はなく、恒温動物にあるまじき体温の低さだった。彼女の
「……嗚呼……これが、『死』か……」
何故、人は死ぬのだろうか。
何故、人は生き返らないのだろうか。
普遍的かつ不可解な問いが浮かんでくる。
「どうして……」
涙がこぼれ落ちる。
何故、チヨは死んでしまったのに、僕は無傷なのだろうか。
「
聖書の一節が脳裏をよぎった。
神は居る。
そいつは、自分の気に入った奴だけを依怙贔屓する奴か、悲劇を好む奴に違いない。
そうでなければ、僕が生きていることに説明がつかないじゃないか。
「チヨ、どうして、どうしてなんだ……！」
急に、この空間に居ることが辛く苦しくなってきた。
「……ごめんね、チヨ」
僕はそう云い残して家を飛び出した。
何処へ行ったらいいのか、何をするべきか何も思いつかなかった。
訳も判らず、ただただ歩き回っていた。
もうどれほど歩き続けたろうか、いつの間にか日が暮れかけていた。
突然、夕焼けの街を歩いていた僕の前に、一人の少女が現れた。
「そこ行く現地民！此処はなんと云う天体かね！」
僕は人を殺した。
そして、それから半日経たないうちに、『宇宙大元帥』と出会った――
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七海の狐(プロフ) - 面白かったです！！あ、後、苗字が同じでびっくりしましたwこんな文豪さんがいるんだ…… (2018年9月12日 16時) (
レス) id: 65efb440a8 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ノアの方舟さん» 過去捏造は二次創作の基本です。梶井の過去が明かされるのはいつの日か…… (2017年8月18日 7時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ノアの方舟(プロフ) - 読みました！とても自分好みで面白かったです！こんな感じの本が出たらなぁと切実に思いました！ (2017年8月17日 23時) (レス) id: 2532ff5de4 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ(プロフ) - キューブさん» それはむしろ嬉しいのですが…← 喜んで！← (2017年6月21日 6時) (レス) id: 13e2718d47 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ねここさん» 気付いてしまいましたね……そんな貴女は残念ですが、宇宙大元帥の部下になっていただきます(嘘) (2017年6月20日 18時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キューブ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月6日 14時
