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「あ、これ未だ在ったんだ！懐かしー！」
僕と一緒に片付けをしていたチヨが、段ボール箱の中から、更に小さい箱を取りだした。
ほら、と差し出された箱の中には、新鮮そうに見える檸檬が入っていた。
「……あ！檸檬爆弾！」
檸檬の正体に気づいた僕は、思わず声を上げた。
「そういえばこれ、処分に困って仕舞い込んでたんだっけ……どうしよ？」
「爆発させちゃえば？」
「それだけは嫌だ！一昨年爆薬作って実験したとき、騒ぎになって留年喰らったんだぞ！」
「ごめんごめん！冗談だよ！」
彼女はまた笑った。
そして、檸檬爆弾を一つ僕に投げてよこし、もう一つを棚の引き出しに仕舞った。
何とはなしに檸檬をポケットに入れた僕に、チヨが話しかける。
「今年は卒業できそうなのに、騒動起こして取り消されたりしたら困るもんね」
本当にそうだ。
これ以上、面倒なことが起こらないと良いけど。思わずため息がもれる。
「キミキミ、婚約者と二人きりだというのに、ため息を吐くようではいかんなー」
チヨがわざとらしく云った。そっか、とだけ返しておき、これまでのことを思い返してみた。
婚約者――そう。僕は先日、思い切ってチヨに
――……僕が、卒業したら……僕と、結婚してくれますか？
大学に入って知り合ったチヨ。明るく素直で、好奇心に忠実な彼女。
麗しの君の返事は「ＹＥＳ」。
返事を聞いたとき、僕の胸にこみ上げたのはこれまでに無い程の幸福感。
それから、僕達は色々なことを決めた。
卒業後は、二人で科学者として生きていこうとか、どこそこに住もうとか……実はもう同居してはいるんだが。
「あ、そうだ」
僕は、やっておくべき事を思い出した。
「実は……結婚のこと、未だ両親には伝えてないんだ」
「え、そうなの？」
「うん、だから……」
「良いよ。今日でも」
「……未だ何をするとか云ってない」
「基君の親に会いに行くんでしょ？何時でも良いよ。私、基君の親御さんの顔見たこと無いから、一回くらいは会っといた方が良いかなって思って」
僕はチヨと共に、実家へ行こうと決めた。
……そんなことしなくても良かったと、今になって思う。
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七海の狐(プロフ) - 面白かったです！！あ、後、苗字が同じでびっくりしましたwこんな文豪さんがいるんだ…… (2018年9月12日 16時) (
レス) id: 65efb440a8 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ノアの方舟さん» 過去捏造は二次創作の基本です。梶井の過去が明かされるのはいつの日か…… (2017年8月18日 7時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ノアの方舟(プロフ) - 読みました！とても自分好みで面白かったです！こんな感じの本が出たらなぁと切実に思いました！ (2017年8月17日 23時) (レス) id: 2532ff5de4 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ(プロフ) - キューブさん» それはむしろ嬉しいのですが…← 喜んで！← (2017年6月21日 6時) (レス) id: 13e2718d47 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ねここさん» 気付いてしまいましたね……そんな貴女は残念ですが、宇宙大元帥の部下になっていただきます(嘘) (2017年6月20日 18時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キューブ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月6日 14時
