宇宙大元帥に関する覚え書

11000 ページ23

財布をポケットに入れ、研究所を後にした。
コンビニを先にすべきか、ホームセンターから先に行くべきか……
そんなことを考えながら町中を歩いていた僕は、行きつけの古書店の前で足を止めた。

――宇宙工学絡みの本でも買ってやったら喜ぶかな。

僕は予定を変更し、古書店へ入っていった。


「らっしゃいやせー」


やる気無さげな店員の声。
此処は何時も初老の店主が店番をしていて、僕が来たら名前を呼んでお勧めの本を教えてくれるのだが。新入りだろうか。店員を雇うなんて珍しい。ラジオを流している点は相変わらずだけれど。
僕は、何時も眺める画集や音楽関連の棚は素通りし、宇宙工学の棚を物色する。


「……続いては、地方のニュースをお伝えします……」


明るい宣伝が終わり、ニュースキャスターの淡々とした口調に切り替わる。
何時ものように、その声を無視して棚を眺める。
『地球から宇宙へ』『なつのロケット団』……この辺は未だ持っていない。此れにしようか。


「……X月Y日に起きた爆発で三人が死亡した事件について、警察は……」


ラジオから剣呑なニュースが流れてきた。
何だか不快になってくる。さっさと会計を済ませて出てしまおう。
適当に本を取り、レジへ持っていった。

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