検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:28,970 hit

01011 ページ11

研究所にて、僕は目を覚ました。昨夜、机に突っ伏したまま眠りこけてしまったようだ。
窓から外を眺めると、だいぶん明るくなっている。
僕は机の上の、標高30cmはゆうに在る本の山の頂点から眼鏡を取ってかけた。
ぼんやりとしたまま座っていると、本棚の方から物音が聞こえた。


「梶井!梶井!!大変だ!」


A閣下の慌てた声。
彼女はぎりぎりの平衡(バランス)であった山を崩落させていた。


「……あーあ」


「……すまない。地球の事について学ぼうと思い、本を片端から読んでいたのだが……」


申し訳ない、と云った口調で話しながら、本を棚の中へ押し込んでいた。



「……どいて」


「きゃん!」


僕はAの頭を掴んで、彼女を本棚から引き離した。
成程、元の場所へ戻そうという努力はみられるが、系統はバラバラで続き物が悲しく生き別れに為っていたり。挙句の果てに、上下が逆さまなものも……


「……梶井、どうかしたか……?」


「……もういい。僕の私物に触らないでくれ」


Aは、今までのような大胆だったり大袈裟な台詞も云わず、ただ茫然としていた。
本を整理していた僕に、小さな声で聞いてきた。


「……梶井、お前は……怒っているか……?」


聞いていないふりをする僕に、こう続けた。


「なぁ……何故、これっぽちの事で怒るのだ……?」


これっぽち、の一言が僕に刺激を与えた。


「……逆に聞くけど、君は自分の大切なものを雑に扱われても怒らないの?」


「……それは……」


彼女は口ごもってしまっていた。
僕は本棚の整理を続けた。



ごめん、と声が聴こえた様な気がした。

01100→←01010


ラッキーアイテム

新書本

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーSF

星を継ぐ者


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
44人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 梶井基次郎 , 宇宙大元帥   
作品ジャンル:SF
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

七海の狐(プロフ) - 面白かったです!!あ、後、苗字が同じでびっくりしましたwこんな文豪さんがいるんだ…… (2018年9月12日 16時) (レス) id: 65efb440a8 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ノアの方舟さん» 過去捏造は二次創作の基本です。梶井の過去が明かされるのはいつの日か…… (2017年8月18日 7時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ノアの方舟(プロフ) - 読みました!とても自分好みで面白かったです!こんな感じの本が出たらなぁと切実に思いました! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 2532ff5de4 (このIDを非表示/違反報告)
ねここ(プロフ) - キューブさん» それはむしろ嬉しいのですが…← 喜んで!← (2017年6月21日 6時) (レス) id: 13e2718d47 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - ねここさん» 気付いてしまいましたね……そんな貴女は残念ですが、宇宙大元帥の部下になっていただきます(嘘) (2017年6月20日 18時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:キューブ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年3月6日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。