忠告 ページ29
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「しかもお前、何他の男の家に住み着いてんの?その服といい髪の毛の匂いといい色々気に食わねえなあ」
「っなんでそれ知って…」
「…今からあの男殺してやろうか?」
「ら、蘭…っ!それだけはダメ…!」
「なら良い子に言うこと聞けるよな?」
「っ、」
蘭の言葉に咄嗟に後ろを振り返ったAは微笑みながらこちらを向いている彼に恐怖で身体が固まり思考が鈍る。その様子に「兄貴」と言いため息をつく竜胆もAの方を見つめる。
「俺らも痛い目見させようって訳じゃねえんだ、ただお前に戻ってきて欲しいんだよ」
「……」
「首領にも連れ戻してこいって頼まれてる、三途に会いたくねえなら俺らんとこ居ればいい」
「でも…、」
「…A、後から痛い目見たくねえなら今戻ってこい、俺もお前を傷付けたくないんだよ」
そう言ってAの肩に手を置く竜胆の優しさにほんの少し緊張が解けたAは下を向きしばらく黙り込む。今ここで戻らないと千冬さんも殺される、仮に殺されなかったにしても常にリスクと隣り合わせになる彼を危険に合わせる訳にはいかない。そう思ったAは意を決したように彼らを見つめる。
「分かった戻る」
「良い子だなあAは」
彼女の言葉にほっとしたような表情を零す竜胆とAの頭を撫でる蘭の方を見上げたAは「でも、」と言葉を続けた。
「春千夜にはまだ会えない…あと千冬さんには沢山お世話になった…のに私は彼に何もしてあげてない」
「あーなんかプレゼントでも送っとくか?」
竜胆の言葉に小さく頷いたAに「じゃあ今度なんか買いに行くか」と言った竜胆はまだ微かに身体が震えているAの頬に手を伸ばし指を滑らせながら優しく撫でる。
「A、三途の事は俺らに任せろ、な?」
そう言う竜胆に「うん」と静かに頷いたAを見た彼らは連れ戻したAと一緒に梵天のアジトへと足を運ぶ。
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レモン(プロフ) - みーさん» 素敵なコメントありがとうございます。自分も千冬と誕生日近いのでもしかしたら主様とも近いのかも知れません…!ぜひTwitterなどでお祝いさせてください。主様が何事にも頑張られている姿に少しでもお力添え出来るような作品になりますように。 (2021年8月30日 7時) (レス) id: 5c842a307a (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - miuchapinさん» 素敵なコメントありがとうございます。蘭の小説、連載中のもの以外にも考えておきますね…!新作もぜひご愛読くださいませ。 (2021年8月30日 7時) (レス) id: 5c842a307a (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 葛藤しながらも毎日更新している、努力されている所本当にすごいと思います。レモンさんの作品大好きです!千冬くんも推しで、自分の誕生日とも近いので楽しみです(*´-`)これからも応援してます! (2021年8月30日 0時) (レス) id: 9cd12cdcb5 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 完結、お疲れ様でした…!メリーバッドエンドに向かってるのかな、と思いきやハッピーエンドで涙が出そうになりました。小説ではないんですが、私も競争で他人と比べて、毎日自己肯定感が薄れていっているので気持ちはすごく分かります。文字数足りないので分けます… (2021年8月30日 0時) (レス) id: 9cd12cdcb5 (このIDを非表示/違反報告)
ha(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品を読んで作者様の言葉選びや展開の運び方が素敵で、他の作品も読む手が止まらなかったです。沢山葛藤もあった中完結させてくださったことに感謝を伝えたいです。私の推しである千冬のバースデー作品楽しみにしております! (2021年8月30日 0時) (レス) id: 37c839e9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レモン | 作成日時:2021年8月7日 22時