好きなら ページ26
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「一虎くん、今日の店閉めお願いしてもいいですか？」
「おー良いけどなんかあんの？」
「Aが、」千冬はそう言って腕の中で震える彼女をちらりと見る。その様子を見て目を見開いた一虎は「事情は明日にでも聞くから帰れ」と焦った様子で言った。一虎の言葉に頷いた千冬はAを店のソファーに下ろし急いで帰る支度をする。
深夜に近い時間に車を走らせなんとか自分の家に着いた千冬は玄関の鍵を開けAを家の中に誘導する。
千冬が部屋の奥へと行きAの方に戻ってきた頃には片手にバスタオルを持っていて「ほら、」と彼女に手渡す。
「風邪引くからとりあえず風呂入れ」
目の前に差し出されたバスタオルをじっと見つめたAは千冬の言う通りに風呂場へと足を運ぶ。
脱衣所でびしょ濡れの服を脱ぎシャワーの蛇口を捻ると今まで冷えていた身体を解すような温かさに目を瞑る。
「…あったかい」
身体は暖まっているのに心は冷たいままで今でも春千夜の事が頭から離れない。彼は今どうしているのだろうか。いつも彼に甘えてばかりでずっと一緒に過ごしていたのでAは家出なんて初めての事だった。自分から突き放したくせに今でも彼に会いたいと思うのは長年一緒に居たからなんて理由では片付けられない。涙が止まらない目を両手で覆い隠し彼に対しての想いに身を捩らせる。
彼が本気で自分の事を好きでなかったとしてもこの気持ちはずっと変わらない。自分は恋なんてしていい人間ではないと思っていた、無理矢理自分の気持ちに蓋をしていて彼の役に立てればそれでいいと思っていたのに。とめどなく溢れる感情に心が揺れる。
私は彼が好きだ。
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レモン(プロフ) - みーさん» 素敵なコメントありがとうございます。自分も千冬と誕生日近いのでもしかしたら主様とも近いのかも知れません…！ぜひTwitterなどでお祝いさせてください。主様が何事にも頑張られている姿に少しでもお力添え出来るような作品になりますように。 (2021年8月30日 7時) (
レス) id: 5c842a307a (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - miuchapinさん» 素敵なコメントありがとうございます。蘭の小説、連載中のもの以外にも考えておきますね…！新作もぜひご愛読くださいませ。 (2021年8月30日 7時) (レス) id: 5c842a307a (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 葛藤しながらも毎日更新している、努力されている所本当にすごいと思います。レモンさんの作品大好きです！千冬くんも推しで、自分の誕生日とも近いので楽しみです(*´-`)これからも応援してます！ (2021年8月30日 0時) (レス) id: 9cd12cdcb5 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 完結、お疲れ様でした…！メリーバッドエンドに向かってるのかな、と思いきやハッピーエンドで涙が出そうになりました。小説ではないんですが、私も競争で他人と比べて、毎日自己肯定感が薄れていっているので気持ちはすごく分かります。文字数足りないので分けます… (2021年8月30日 0時) (レス) id: 9cd12cdcb5 (このIDを非表示/違反報告)
ha(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品を読んで作者様の言葉選びや展開の運び方が素敵で、他の作品も読む手が止まらなかったです。沢山葛藤もあった中完結させてくださったことに感謝を伝えたいです。私の推しである千冬のバースデー作品楽しみにしております！ (2021年8月30日 0時) (レス) id: 37c839e9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモン
| 作成日時：2021年8月7日 22時
