共依存２【三途春千夜】

意地悪 ページ19

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「おーA〜準備出来たかぁ？」


春千夜が仕事に行って数分か経った時に部屋のドアから顔を出してきた蘭達がAを迎えに来てくれていた。春千夜がスーツに着替えている時ついでに自分の服も選んでもらい彼が可愛いと言ってくれた服を着れて上機嫌な様子のAがそこには居た。

「うん、出来た」

「お前、髪の毛伸びてきたな」

Aが部屋から出てきた時に竜胆が彼女の髪の毛を手櫛で整えながらそう言う。


「…短い方が良いかな」


「何でも可愛いよお前は」


そう言って頭を優しく撫でる竜胆にありがとうと嬉しそうに微笑むAを見て少し安心したように笑う彼はAの手を引く。


「今日は蘭ちゃんがAの好きなもん全部買ってやるからな〜」


「兄ちゃん三途に負けたくねえからって貢ごうとすんなよ」


軽く言い合いをする兄弟を見て笑みが溢れる彼女は前よりずっと痩せ細っていて決して健康的な身体ではなかった。少し力を入れれば折れてしまいそうなその手を見つめる彼らは妹のように可愛がっているAを春千夜に任せたくなかった。

だが、彼女を偶然拾ってきたのもあの男であり打つ手が少し遅くてAも春千夜に懐いているので渋々諦めた彼らだったが隙さえあればAを飼い慣らそうと目を光らせていたことには変わりない。


「ちょっとお手洗い行ってくる」


昼は高いレストランに連れていかれ高級な食材が並ぶ中あまり食欲のないAは一旦胃の中の物を全部吐いてしまおうと考え席を立つ。着いていかなくて平気か？竜胆が彼女にそう聞くがすぐ戻るから大丈夫と言って断り足早に店内にある場所へと向かう。

運が良く客が誰も居なかったので個室に駆け込み多少なりとも胃の中に入れたもの吐き出すと深く呼吸をし壁にもたれ掛かる。

しばらくして呼吸が落ち着いたところで席に戻ろうと洗った手をハンカチで拭いていた時、後ろから何者かが近づいてくる気配がしたと思い瞬時に後ろを向こうとするも首筋にナイフを突き立てられる。


「動いたら殺す」


そう言われ鏡越しに相手を見ると黒い服を着た男がそこには立っていて梵天の裏切り者だと判断したA
は彼を鋭く睨みつける。蘭達に来てもらおうとポケットにある携帯に手を伸ばそうとするも強引に口元に布を押し付けられ顔を顰めたAは意識を段々と手放してしまう。



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