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「吉沢さん」
「はい?」
「……あの、やめた方がいいと思うんです」
「何をですか?」
「あんまりこうやって一緒にいたりすると、変な噂が立ちますから」
「噂って、知ってたんですか?」
そりゃあんなに大きくなれば、本人の耳にも入るでしょうよ!
天然なんですかね、この人は。
「迷惑、ですか?」
「迷惑というか、困るでしょう?」
私なんかと噂になって、吉沢さんがあることないこと言われるのは困るだろう。
人気者で、みんなの憧れの的なんだから。
そう思っていたのに。
彼はとても悲しそうな表情をして、
「困る……そう、ですよね。すみません」
と覇気のない声で言った。
「……これじゃ、あの課長と変わりませんね。」
呟くように発した言葉は小さくて。
「これからは用事のある時だけにします。すみません。……それじゃ、失礼します」
一方的に頭を下げて、彼は足早に去って行った。
突然の出来事で、止める暇もなくて。
いや、何と言うか。
彼は言葉の意味を取り違えてる気がする。
激しく勘違いしている気がする。
でも吉沢さんはもう見えなくなってしまったし、連絡先も知らない私は彼の誤解を解くことは出来なかった。
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リオ(プロフ) - ねのさん» ねのさん、コメントありがとうございます。吉沢Sideも公開できるように頑張ります。 (2018年10月21日 19時) (レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)
ねの(プロフ) - 完結おめでとうございます!ぜひ、別side編も読んでみたいです (2018年10月21日 1時) (レス) id: 9139ef9cf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リオ | 作成日時:2018年10月14日 15時