検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:19,171 hit

5 ページ5

「お忙しいのに、お時間いただいてすみません」



乾杯をして開口一番、彼は私にそう言った。
それを言うなら、営業のあなたの方が忙しいでしょうに。



「いえ、私こそ助けていただいてありがとうございます」



今日何度目かのお礼の言葉に、彼は



「もういいですよ」



と笑う。
綺麗な顔だけど、笑うと可愛いんだなと思った。
そしてそれと同時にふと気付く。



「そういえば、きちんとご挨拶していませんでしたね」



名刺を1枚取り出して、彼の前にすっと差し出す。



「秘書課のAと申します」


「あ、営業の吉沢です」



彼も慌てて名刺を取り出し、同じように私の前に名刺を差し出す。
名刺には



『吉沢亮』



と刻まれていて。


吉沢亮? どこかで聞いた名前。
記憶の糸を辿っていくと、同じ秘書課の3つ後輩の女の子が、吉沢亮と同期だと話していたことを思い出した。


かなりのイケメンで、入社式から目立っていて、営業先でも人気だって。
真面目で誠実だから、彼が営業に行くとかなりの確率でいいお返事がもらえると噂で聞いたことがある。
社内外問わずファンクラブがあって、彼の彼女の座を狙っている女子が大勢いる、っていう話も聞く。
あぁ、彼があの有名な吉沢亮か!と自分の中で一致した瞬間だった。


そんな彼とこんな風に食事してるなんてバレた日には、私命がないんじゃないかしら。
一緒に歩いてるところ、誰かに見られてないかな。


でも今更そんなこと気にしても仕方ないし、これはお礼でやましい事は何もない。
大丈夫だろうと高を括ることにした。



「吉沢さんは、どうしてあの場所に課長がいらっしゃることご存知だったんですか?」


「あの人がいつも逢引きに使っているの、知っていたので」



そこまで言ってグラスのワインを飲み干した彼は、



「まさかAさんと一緒とは思いませんでしたけど」



と付け加えた。



「状況からして合意の上、とは思えなかったので。割って入ってよかったです、本当に」


「すみません」


「Aさんが謝る事ではないでしょう?」


「それはそうですけど……」


「課長は俺も気にしておきますけど、Aさんも気を付けてくださいね」


「ありがとうございます」

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
設定タグ:吉沢亮 , 恋愛   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リオ(プロフ) - ねのさん» ねのさん、コメントありがとうございます。吉沢Sideも公開できるように頑張ります。 (2018年10月21日 19時) (レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)
ねの(プロフ) - 完結おめでとうございます!ぜひ、別side編も読んでみたいです (2018年10月21日 1時) (レス) id: 9139ef9cf8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リオ | 作成日時:2018年10月14日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。