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なんとなく、彼が人気があるのがわかる気がする。
勿論イケメンだということもあるんだけど、彼はとても優しい。
助けに入ってくれた時も私自身よりも私の事を心配してくれたし、今だってこうやって気にかけてくれる。
モテるんだろうな、って考えつくのは自然な事だった。
「堅苦しいのはやめませんか? 今は仕事じゃないんですし」
「……そうですね」
「それに俺は後輩ですから。そんなに気を使わないでください」
「お気遣いありがとうございます」
そう言われても、ほぼ初めましての相手に慣れ慣れしくするわけにもいかず。
ましてや人気者の彼と親しくすることに、少なからず抵抗があって。
だって誰に見られているかわからないし、仕事に支障をきたしたくないし、何よりまだ命は惜しい。
当たり障りない会話と、得意の作り笑いでなんとか誤魔化しながら食事を終えて店を出た。
「すみません、ご馳走になって」
「今日のお礼ですから、お気になさらず」
申し訳なさそうにする吉沢さんに、今更何を?と思ってしまう。
元々そのつもりだったし、それで誘ってきたんでしょう?
さすがにそこまで口にも表情にも出しませんが。
彼は何とも言えない微妙な顔をして、
「……送ります」
と言った。
「いえ、タクシーで帰りますからお気遣いなく」
昼間のこともあって、肉体的にも精神的にも疲れしてしまっていた私は、早く1人になりたかった。
彼の申し出をやんわりと断って、
「今日はありがとうございました。それでは失礼します」
と一礼して私はタクシーに乗り込む。
彼は何か言いたそうにしていたけど、そこは気付かなかったことにして。
タクシーを出してもらった。
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リオ(プロフ) - ねのさん» ねのさん、コメントありがとうございます。吉沢Sideも公開できるように頑張ります。 (2018年10月21日 19時) (レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)
ねの(プロフ) - 完結おめでとうございます!ぜひ、別side編も読んでみたいです (2018年10月21日 1時) (レス) id: 9139ef9cf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リオ | 作成日時:2018年10月14日 15時