稲荷の狐と夜叉の花姫2【まふまふ】 (ページ8)

今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:2,104 hit

52話ページ8

う「これを見てください」

先程持ってこさせた数枚の紙を受け取る。グラフが書かれた紙や、何かの記録のような……

う「それは今年度に入ってからの住民の消失率と、土地の弱体化の様子です。前年度と比べると分かりやすいか」

そう言って渡されたものと見比べると、なるほど。確かに土地はどんどん弱っていってる。この消失というのは……？

う「住民たちがなんの前触れもなく消えたっていう報告書。見てわかると思うけど、前年度より明らかに増えてる」

思わず言葉を失った。これが……妖気が減少した結果、なのか

この中の何割が、きちんと気持ちの整理をつけて黄泉へと旅立ったのだろう。改めて自体の深刻さを認識した

う「弱いあやかしや霊ほど消えていく……俺も手をこまねいてはいられないんでな」

そんな折に、鬼になった元神がやって来たと聞いたらしい。しかもその神は、鬼になる前に山の浄化などを生業としていた

う「＿＿＿神様。いや、花姫。どうか俺たちにその力を貸していただけませんか」

ふざけた様子は一片もない、真剣な眼差しだ。助けてあげたいのは山々なのだけど、自分がどうして鬼になったのかも私はわかっていない

神々に許されない限り、この呪いを解くことなど出来ない

そう伝えると、残念そうに顔を伏せた。ダメ元だったとしても、神への期待は大きかったはずだ

ぐっと唇を噛み締める

私は、ここでも何も……出来ない

う「いや、あんたが悪いわけじゃない。元々俺たちの問題だから。そんな顔しないで」

はっと頬に手を当てる。強ばった表情をほぐし、元の微笑に戻す

貴「キツネの里は今、原因究明のためにそらるさんやまふまふさんが動いています。本日はその話し合いになるでしょうか」

う「そうだな。久しぶりの共同作業になるのかー」

どうやら民を納得させるための言い訳が大変らしい。束ねる側の苦労がよくわかる

貴「あの」

う「ん？何？」

うんうん唸っているうらたさんに話しかける。今聞くべきことではないが、時間があるのはこの時しかないと思った

貴「お尋ねしてもよろしいでしょうか……この里にとって神とは、あやかしとは、どういう立ち位置にいるのですか？」