稲荷の狐と夜叉の花姫2【まふまふ】 (ページ21)

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65話ページ21

そ「ふわぁ……朝か」

そらるの朝は早い

日が昇る前に起床して、禊とお清めを行う。だいぶ形式的なものなので、朝風呂と軽い掃除と言った方が近い

次に、食事の支度に取り掛かる。最近の悩みは、住人が増えて献立に困っていることだ

そ「卵そろそろ買わなきゃなー……あ、豆腐の賞味期限が危ない。今日は湯豆腐にしよう」

フライパンに溶き卵を落とし、クルクルと巻いていく。出汁を入れるのもいいけど、今いるお客人は砂糖の方が好みだろう

隠れ里は日本のエド、という町がモデルになっているけど、機器は現代のものも多い

神社のものは、新しい物好きの主が買ってきたものばかりだけど……

ま「おはようございます……」

そうしていると、まふが起きてきた。まだ半分寝ぼけた声で朝の挨拶を交わす

そ「食料庫から大根取ってきてくれない？その後、そこのおろし器で擦って」

コクンと頷いて、欠伸をしながら台所を出ていく弟分。また徹夜で作業でもしてたのか

まふが出ていくと、すぐ入れ替わるように誰かがやって来た。ダダダッと元気のいい足音と、スタスタと上品な足音

坂「そらるさんそらるさん！畑見てきたー！」

貴「おはようございます。胡瓜は終わりかけでしたね。サツマイモとカボチャは少々先です」

さらに、周辺の山の幸だとサトイモやヤマイモが収穫できる頃だという。山の神であった彼女の経験則なら間違いないだろう

坂「サトイモ皮ごと焼いても美味いよなー！ヤマイモはとろろも好き！」

そ「はいはい。ありがと、二人とも。もう少しで出来るから手洗ってきな」

坂・貴「はーい／はい！」

ソーセージを湯からあけ、レタスを1口分にちぎっていく。一人一人の皿に盛り付けたところで、帰ってきたまふまふも大根おろしを完成させる

俺はご飯と味噌汁の茶碗を準備し始める。さすがにお腹が減ってきた。今日の飯は美味そうだ

＊＊＊

坂「〜〜〜美味い！」

ま「大袈裟だなぁ坂田は」

ソーセージを頬張る坂田が嬉しそうに叫ぶ。その正面でまふは、明太子をご飯に乗っけながら言った

お前もお前で楽しそうだけど、突っ込まないでおいてやろう

貴「でも美味しいですよ。卵焼きが甘い……！」

そ「うん、好きだろうと思った」

若干とぼけた返事をするのがA。甘いものが好きな彼女らしい

最初のうちは異質だったのに、もうすっかり4人の食卓に慣れてしまった気がする

ズズっとお茶を含むと、喉の奥に苦味が残った

さて、今日も頑張らないと