稲荷の狐と夜叉の花姫2【まふまふ】 (ページ3)

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47話ページ3

悪いことをしたと思っている

ボクが腹を立てているのは神様全般だけど、あいつに何かされたことはない

強いて言うなら、発言が気に食わなかった。ただそう育っただけというのは理解してる。でも、あの時のボクはそれすらも許せなかった

八つ当たりに何も文句を言わず、恐らくボクが言った言葉の意味をずっと考え込んでいるのだろう

ふらふらと柱に頭をぶつけたり、さっきは花瓶を落としたり。どんくさいやつだと思っていたけど、坂田いわく前はこうじゃなかったらしい

……怒ってくれていいのに

謝ろうとしたことはある。けれど、何を言っても変わる気がしないのだ。あいつはそれすら飲み込んで、考え続ける気がする

話すしかないんだけど……どうやって言えばいいんだろ

買い物に出かけさせたのは、そらるさんの心遣いだ。気分転換になってるといいけど、鈍臭そうだからなぁ

集めた枯葉を燃やし、机仕事を手伝おうと建物に入ろうとしたら、声をかけられた

「文のお届けでーす！」

飛脚が鳥居の前に立っていた。珍しい、神々からの通達か何かだろうか

お礼を言って受け取ると、たったったっと軽快に階段を降りていく。かなり大変だと思うのだけど、足取りは軽い

ご苦労様です、と呟いて宛名を確認する＿＿＿

＊＊＊

ま「そらるさん！」

昼食の用意に取り掛かろうとしたところで、弟分の戸惑った声が聞こえた。手に持っているものは……手紙？なんでこんな時期に

そ「……出雲の招待、なわけないよな」

ま「だったら一大事ですね、違いますよ」

言いつつ手紙を受け取るように促す。緊急ではありそうだが、どちらかというと困惑しているみたいだ。宛名を見て＿＿＿納得した

そ「狸の里から？今、この時期に？」

キツネの里の隣に位置する、タヌキの里。昔話にもあるように、両者は非常に仲が悪い

一応隣同士として、年に一度だけ元旦に挨拶はするのだが……今は夏の終わり。残暑見舞い、というわけでもないだろう。前例がない

取り出してガサガサと見ると、予想外のことが書かれていた。思わず味噌の在庫を見てしまう

ま「額にシワが寄ってますけど……何があったんです？」

そ「あー、うん。なんて言ったらいいかわかんないんだけど」

状況はわかったが、相手の真意はわからない。まぁ不安げな弟分のためにも、そのまま伝えるとしよう

そ「夜叉はこちらの手にある。半身の迎えに来ないか？だと」