64話 ページ20
坂田とうらたさんが話してる間に、ぱたぱたと軽い足音が向かってきた。振り向かなくてもわかる、キツネ側の連絡係だ
「まふまふ様、分析結果の追加です。それからこっちは連絡係なので後で……あっ、手毬!」
「月笠?」
白髪の少年の声に、タヌキの少女が大福を食んだまま反応する
連絡係同士、面識があるのは当然だ。しかし、ケンカでもするのではと冷や汗をかいた
月「お前、なんでこんなとこに……大福だ!俺にもくれよ」
手「だーめ。これは私がうらた様から貰ったの」
月「ちょっとくらいいーじゃん、ケチ!」
ま「……えっと、」
平和なやり取りだったけど、報告の最中だ。二人はハッとこっちを見ると、手毬が恥ずかしそうに口をつぐみ、月笠がビシッと直立不動の姿勢を取った
月「し、失礼しました……えっと、こちら分析結果の追加になります。原因がどこかわからないので、手当り次第調べているみたいです。
それから、これはタヌキ宛なので……」
友達同士、上司の前で少々気恥しいのか言葉少なに手毬が受け取る。彼の用はこれで済んだらしい
月「それでは、俺はこれで…」
ま「あ、待って!」
足早にこの場を去ろうとする彼を、慌てて引き止める。うらたさんのように器用には出来ないけど、甘味でもどうかと聞いてみた
彼は二つ返事で頷くと、みたらし団子を頼んで少女の隣に腰掛けた
坂「タヌキとキツネで仲良いって珍しいなぁ」
しばらく様子を見ていた坂田が、楽しげに喋る二人を見て言う。ボクも頷く
ま「若い世代は確執がないんだね。なんか羨ましいなぁ……」
坂「セリフがおじいちゃんみたいやで」
ま「それは坂田でしょ。ボクより上なんだから」
貴「あら、そうなんですか?」
団子を食べ終わったAが、会話に混ざり込む。隠す様子もなく、意外だと顔に書かれていた
坂「せやで。平安より少し前かな?そこらに生まれてん」
貴「ええっ!?な、長生きですね……?」
坂「うん。でも長いこと眠っとったから、起きたのは200年くらい前やねんなー」
貴「そうなんですね……寝坊の癖は昔からなんですか?」
坂「それはひどない!?」
……どこまでわかっているのだろう、この神様
いつの間にかすっかり打ち解けた二人が会話するのを聞きつつ、お茶のお代わりを頼んだ
そらるさんも来れば良かったのにな
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作者名:笹乃葉 | 作成日時:2023年7月5日 18時