57話 ページ13
まふまふさんと渉さんの話し合いが終わり、夜が明けた
私はというと、別室で待機___という名のおもてなしを受けた。甘味って幸せになれる。昨日と今日で学びました
ま「それではうらたさん、次の報告で」
う「おう。その前にこっち来んなよ」
皮肉のような冗談にまふまふさんが苦笑し、私も続いて頭を下げた
う「いろいろ悪かったな。また遊びに来てくれ、みんな喜ぶから」
是非!と即答しそうになるのをこらえ、「ご機会がございましたら」と答える。後ろでは昨日優しくしてくれたお姉様たちが手を振っている
まふまふさんからの視線が突き刺さる。名残惜しいが、後ろの彼女たちにも一礼してこの地を去った
***
貴「昨日は気づきませんでしたが……どうして山1個分も超えなきゃいけないのですか」
ま「二つの里が仲悪いからね。中立地帯でもないとすぐ喧嘩する」
先を歩くまふまふさんから素っ気ない返答がくる。そういえばまだ怒っているのだろうか……少々気まずい
険しいという程でも無いけど、歩くには疲れる山の中を無言で歩く。すると途中で「あ」と声を上げたかと思うと、彼が何かの植物の前で止まった
貴「どうかしましたか?」
ま「この辺でしか生えない薬草があったはず……これか。そらるさんに頼まれてて」
懐から袋と小さめのスコップを取り出し、採取を始める。うろちょろしてるだけでは邪魔なので、休憩がてら木の切り株に腰掛ける___寸前
貴「!」
何かの気配を感じる。敵意、いや殺気?懐の小刀に手をかけた途端、自分から狙いが逸れたのがわかった
なぜ?気づかれたからだ。なら、次に向かうのは……
貴「まふまふさんっ!」
刹那。取り出した小刀から、キィンと甲高い音が鳴り響く。背後の彼は無事だ……ほっと胸をなでおろした
弾かれた相手が距離をとる。ボロボロの包帯をまとった、火傷だらけの動物だ。瞳の光は虚ろで、今にも倒れそうなほどふらついている
ま「な……に、あれは」
素早く事態を飲み込んだ彼が私の後ろに控える。戦闘はあまり得意ではないらしい
貴「わかりません。ですが、もしかしてあれは……」
鬼であるからか、それとも元からかはわからない。私は、そんな存在に会ったことがない。でも、なんとなく肌で感じてしまう
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作者名:笹乃葉 | 作成日時:2023年7月5日 18時