[ 短編集 ] 夢見の少女とユメ喰らうヴァンパイア【そらる】【まふまふ】 (ページ15)

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夏祭り⑬ ページ15

赤くなった目を擦って力強く頷く。確かに逃げる手段もあるのかもしれないけど、でも

貴「今回こんなんが出たってことは、どっちみちこういう荒事には絶対またぶち当たるでしょ。こいつらを雇った人がいるってことはわかってる
なら……い、一緒にいるためには、慣れてかなきゃでしょ」

後半、少し気恥ずかしくなって目を逸らした。別におかしな事は言ってないつもりだが、なんか結婚を前提にしたカップルの発言みたいになってしまった

二人も同じだったのか、白髪は口をぎざぎざと歪めている。黒髪さんははにかむような困ったような、なんとも言えない表情だ

ええい、そんな目で私を見るなーー！！！

紆余曲折(も特に無かったが)の末、私は白髪と行動することになった

黒髪さんが少し不服そうだったけど、前衛(というか中衛)タイプの黒髪さんは敵と対峙することが多い

その分、白髪は体術があまり得意でなく魔法攻撃が多いので、遠距離からズドンって感じなのだ。私？バリバリの前衛やけど、戦力不足なので今日は後方部隊

決して図書館の防衛戦争の小説読んだとかじゃないから！検閲に屈しないなんて言ってないから！
(有川さんごめんなさい)

そ「んじゃ、行こうか。あ、A」

貴「ほい！……うぉっ！？」

ポンッと何かを渡された。あ、これはまさかの

貴「はんぺんだ！取れたの！？」

ま「お店のおじさんがくれた。ちょっと悪いことしたな…」

貴「何したの？？？」

あまりにも取れなさすぎて、というのはこの2人から考えつかない。今頃射的屋が空っぽになっていそうだ……あぁ、おじさん可哀想

顔も知らないおじさんに向かって、無意識に両手を合わせる。なにやってんのと言われた(当たり前)

そ「さぁ、お前ら行くぞー」

ま「はい！」

貴「うぃーす」

間の抜けた呼び声だが、私たちらしいなと思う。先頭が黒髪さん、後ろから私と私を抱えた白髪という図だ。おい、なんで俵担ぎやねん

貴「私は米俵か！もうちょっとマシな運び方あんだろテメェ！」

ま「はいはい荷物は黙ってて……痛い、蹴るな！」

そ「仲良いのは結構だけど落ちるなよー」

終始こんなやり取りだったが、敵と相対した時の片付けるまでのスピードが数分あったかないかだった

特に黒髪さんが鬼の形相でドンパチやっていた。何そんなに怒ってるんだ？ってくらいの