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「そう、ニカに土曜日スケジュール開けるように言われた」
宮田は衣装を用意してるし、と千賀は髪の毛を梳かしながら電話をかける。衣装？と携帯電話の向こう側で首を傾げていそうな藤ヶ谷に、千賀は今日身に着けた衣装のことを事細かに伝えた。
「俺のはビキニみたいなメイド服・・・おミツのも可愛いの用意されてたよ」
「そうか・・・何かを企んでいるようだな」
「当日はすぐには連絡できないかもしれない。ニカと宮田と一緒に行動しないといけないから」
「分かった、そこは千ちゃんの按排に任せるね・・・北山を頼む」
「はいよ！」
詳細はまた連絡するね、と藤ヶ谷に告げると、千賀は携帯電話をポイッとソファーに投げた。
「・・・ガヤさん、おミツのことばっかり・・・おいしい仕事があるからって俺のこと誘ったくせに」
俺はどうなってもいいのかよ、と千賀は頬をプーッと膨らませる。化粧水代とか、全身脱毛とか、美容にお金をかけたいことを相談したら玉を紹介してもらって口説くだけなんて簡単な仕事だと思っていたのに、仲良くなって、一緒にいられるようになったまでは良かったけれども、玉はなかなか本心が見えるところまで心は開いてはくれなかった――いや、それは今でも、なのかもしれない。玉は優しいけど何を考えているのか分からないところもあって、ときどき怖く感じてしまう。まるでこちらの企みでもお見通しであるかのように――そうこうしている間に俺はあっという間にニカと宮田にいわゆるお下がり状態になってしまった。ニカと宮田とは気が合うし、一緒にいて楽しい。二人と身体を重ね合わせるのも悪くない。だけど、それだけじゃ――俺の目的は果たせない。
「でも・・・今回のニカの計画に乗っかれば、まだチャンスはあるかも・・・」
ニカもちょっと何を考えているのか分からないところもあるけれど、真面目で優しい宮田は違う。そのために宮田を北山へ向かうように煽った。純粋な宮田はきっとまんまと乗せられて、きっと北山を手に入れようと何か算段を立てるはず――その隙に玉を狙えばいい。
「玉は・・・おミツに絶対に渡さないから」
だって、と千賀は携帯に届いたメッセージを確認して小さく微笑む。
「玉を落としたほうが・・・報酬高いんだもん」
――ねぇ、“cotton”さん。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2020年3月9日 0時
