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「Yシャツもそのケースに入れて」
玉森から北山のYシャツを受け取り、綺麗に畳んでしまう宮田は訝し気に玉森を見つめた。
「玉、お洋服入れるなら別にこのケースじゃなくても・・・」
すると、玉森は唇に指をあて、静かにするように合図を送る。少し驚いた表情を見せる宮田を後目に、玉森はジュラルミンケースをバタンと閉じた。
「・・・もう喋っても大丈夫」
「・・・え、まさか」
「ミツの衣服に発信機とか盗聴器とかついてるんじゃないかと思ってさ」
念のためだ、と玉森はジュラルミンケースに鍵をかける。
「そのために電波を妨害するこのケースを・・・」
何もかも見透かしているような玉森の姿に宮田は思わず身震いをしてしまう。それ以前にただ両想いでデートをしているかと思っていたはずなのに、この警戒と探り合いをしているかの状況は何なのだろう、と宮田は気取られない程度に視線を眠っている北山に向けた。
「ミツ・・・俺の天使・・・その秘密を必ず暴いて、そして全て俺のものにするから・・・」
ツン、と玉森は北山の頬を指先でそっと突くと、北山が唇をむにゃむにゃと動かしながら微かに身じろぐ。本当に可愛い、と玉森は口元に笑みを浮かべた。
「さて・・・この後はお楽しみ、だったな」
軽くシャワーを浴びてくる、と玉森は浴室に向かって歩き出す。宮田は慌てて後を追った。
「どうする？キタミツもここでシャワーを浴びてもらう？」
「いや、軽く身体を清めてVIPルームに連れて行ったほうがいいだろう。向こうでシャワーを浴びてもらってその後は・・・」
楽しいパーティにしよう、と玉森は口元に笑みを浮かべた。
「じゃあ先に洗面器にお湯と・・・あとタオルをもらおうかな」
いいよ、と玉森は洗面器にお湯を汲み、その間に宮田は真新しいタオルを何枚か取り出した。洗面器を受け取り、宮田は玉森に大きく頷いて見せる。
「ありがとう、玉。じゃあ、キタミツを・・・」
「・・・つまみ食いはするなよ、宮田」
「分かってるよ、玉」
俺はそんな、と言いながらも額から汗を流し始めるその姿に、冗談だよ、玉森はクスッと微笑んだ。お風呂場の扉が閉まったことを確認すると、宮田は思わず手にしたタオルで自分の汗を拭ってしまう。お湯を零さぬよう慎重に、けれど足早に北山の眠るベッドに戻り、宮田は手にしていたもの一式を床に置きしゃがみ込む。
「・・・俺が仕掛けた盗聴器がばれたかと思っちゃった」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2020年3月9日 0時
