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***
「・・・おっ、玉の車が止まるぞ」
「えっ、何か早くない？」
「いや、ここでいいんだよ、千ちゃん」
どういうこと？と千賀は宮田の顔を覗き込む。三人の乗った車は玉森の車とは少し距離をおいて、シティホテルの駐車場に止まる。
「何か今日海の見えるレストランって言ってなかった？」
前に4人で行った海沿いのレストランかと思ってた、と千賀は何度も辺りを見回すようにキョロキョロする。
「いや、そっちはフェイクだよ。玉の名前で予約しているけど俺の友達を招待してある」
念のためにって玉が、と宮田は携帯を取り出してスケジュールを確認し始める。
「誰かが玉の予約確認の電話をしたみたいだったからさ」
「玉のお店の予約とかほとんど宮田しかしないからな」
知らない男の声で確認があればお店の人も疑うっしょ、と二階堂がニヤリと微笑んで見せる。
「なるほど」
「つまり、やっぱり今日のデートに探りを入れている人がいるってことで」
店を変更した玉の読みは正しいよ、と宮田はどことなく嬉しそうに微笑む。
「天使ちゃんとのデートを邪魔されたら俺達の計画も狂うし」
とりあえず警戒は続けるぞ、という二階堂の言葉に二人はコクンと頷いた。しばらくは三人して玉森の車を見つめているが――
「ミツがなかなか降りてこないね。玉も何してるんだろう」
「もう車でやり始めてるんじゃね？」
時間かかるならもうちょっと車でゆっくりしよう、と二階堂は欠伸をし始めた。遠目で見ていると、確かに玉森が北山に迫っているように見える。
「キタミツ、お肉食べたがってるんだけどなぁ・・・」
予約の時間が、と腕時計と二人の様子を見比べながら、宮田は少しおろおろとし始めた。じゃあ俺もゆっくりしよう、と座席にもたれかかり、千賀は携帯を操作し始める。
「・・・まったく世話が焼けるんだから」
おミツの番号を教えておいてもらってよかった、と千賀は自分の携帯を見つめてため息をつく。
「ガヤさん、ちゃんと追ってきてるかな・・・」
「おっ、天使ちゃんが降りてきた」
「そろそろ俺達も追いかけよう！」
腕を組み寄り添いあう玉森と北山の姿を確認して、二階堂と宮田は慌ただしく車を降りる用意をし始める。千賀は急いで到着したホテルの名前だけを打ち込み送信した。
「どうした、千賀？」
俺達も行くぞ、と二階堂に肩を抱かれ、千賀は携帯を仕舞うとニッコリ微笑んだ。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2020年3月9日 0時
