8-6 ページ13
8-6
***
赤いバラの花束を手に、車を颯爽と降りて可愛らしいお姫様を迎えにいくそのスマートな姿――
「ねぇ、ちょっと！玉、マジでかっこよくない！？」
本物の王子様みたい、とちょっとウットリした表情で外を見つめる千賀に、二階堂と宮田は苦笑いを浮かべた。玉森の車が動き出したのを確認して、宮田が運転手にすぐ後を追いかけるように合図を送る。
「玉の車、わざわざ手配したんだ？」
「玉がどうしても自分で運転してキタミツを迎えに行きたいって」
「まぁデートに運転手付きってのもなぁ」
それに、と宮田と二階堂は辺りを見回す素振りを見せる。
「・・・今のところ、邪魔者はいなさそうだね」
怪しい車は見えない、と宮田は二階堂にOKのマークを作って見せる。
「・・・俺達の今日の仕事は、デートが無事に終わるのを見届けることだからな」
その後はお楽しみだ、と二階堂はペットボトルの水を飲みニヤッと微笑んだ。宮田も少し大きめのボストンバッグを見つめ、コクッと頷いた。そんな二階堂に千賀がもたれかかる。
「ねーニカ、今日って本当に何をどうするの？」
「千賀はいつも通り可愛く甘えてくれればそれで大丈夫だよ」
嬉しい、と千賀は体制を整えてムギュッと二階堂にしがみつく。よしよし、と二階堂が髪の毛を撫でる姿を見て、仲良しだなぁ、と宮田はクスッと微笑み、イヤホンを耳につける。
“今日は美味しいお肉食べに行こうと思うんだけど、ミツはお肉好き？”
“うん、大好き！”
“俺とどっちが好き？”
“ほえっ！？それは、その、あの・・・あっ！”
“ふふっ、お腹鳴ってるね・・・じゃあ、お肉に勝てるように俺、頑張らないとなー”
“そ、そんな・・・玉のことも・・・好きだよ？”
“その表情可愛いなぁ・・・今すぐ食べちゃいたいよ、ミツ”
「いやぁ、あっちもこっちもラブラブだなぁ」
聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃう、と宮田は口元を緩ませながらも――瞳は真剣に目の前の車を見つめる。
「宮田、音楽？何を聴いているの？」
千賀は宮田の耳に自分の耳を寄せて見せる。ハッとして慌てたように宮田はイヤホンを外した。
「い、いや別に、ニカと千ちゃんがラブラブしてるから邪魔しないようにって思って！」
「そっか、ごめんね、いつも気を遣わせちゃって・・・じゃあ三人でお話しよ！」
そう言って自分の手を取ってくる遠足気分であるかのような千賀に、宮田は困ったように微笑みながら頷くしかなかった――
***
next→8-7へ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほわわ
| 作成日時：2020年3月9日 0時
