6-4 side:K ページ6
6-4 side:K
「みっちゃん？」
「・・・あ、ごめん、ただそんな気がしてるだけなんだけど・・・」
俺はふと玉の温もりを思い出したのかもしれない。無邪気に微笑みながら俺を抱きしめてキスをしてくれた優しい玉――あの天使みたいにゆるふわとしている玉が“悪い人”とは信じたくないだけなのかもしれない。
「北山・・・気持ちは分かった」
「藤ヶ谷・・・」
「だけど俺達も何の根拠もなく、玉を疑っているわけじゃない」
それは理解してくれるな、と藤ヶ谷はそっと俺の肩に手を置き、正面を見るように促す。視界に入ってくるのは、よこーさんのちょっとだけ困ったような微笑みと、分厚いファイルだ。そういえば半年前から追っているという事実を思い出す。何かしらの確証があるから何とか玉に近づこうとしているのかもしれないのだった。
「そうだよね、ごめん」
「・・・それに玉は北山に躊躇なく薬を飲ませた・・・そのことを忘れたわけじゃないだろう？」
「・・・っ、うん・・・」
優しい記憶が払拭されるかのように、身動きができず弄ばれかけたことを思い出して俺はブルッと身体を震わせてしまった。
「じゃあ・・・少し話を戻そうか」
俺の様子を察しているかのように、よこーさんは優しく微笑んだ。玉の写真の隣にまた別の人物の写真を――
「宮田・・・」
「そう、今日みっちゃんをさらった張本人だよね。宮田 俊哉・・・玉の腹心だよ」
「藤ヶ谷は宮田とは会ったことあるの？」
「もちろん。あのクラブに行けば基本的に玉と一緒にはいるよ」
いつも玉が踊っているのを見ていただけだったけど、と藤ヶ谷は言葉を続ける。
「たださっきの北山の話で・・・そのVIPルームに目的の人物を連れて行く受付のようなことをしていた可能性は否めないな」
「確かに・・・」
「そして、もう一人」
「二階堂・・・！」
「二階堂に関しては、よく分からない。玉とは遊び仲間なのかどうなのかも・・・玉とも別行動をしているときもあるようだし」
藤ヶ谷が困ったような笑みを浮かべる――確かに玉の命令があったから宮田は俺のことを大切に取り扱ってくれたけれど、二階堂は無視するような形で俺に無遠慮に触れてきたし。
「そして、もう一人・・・最近何だけどね、先の三人と行動を一緒にしていることが多いみたい」
「・・・千賀」
机に並べられた4人の写真を見て、俺は物思いに耽ってしまう。こうして見ているだけなのであれば、まだまだあどけないイメージなのに――
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
