7-23 side:K ページ47
7-23 side:K
「ど、どういう意味で、でしょうか・・・ひゃっ！」
「・・・分かってるだろ？」
急に手を引かれ藤ヶ谷に抱き寄せられるまま俺は、ベッドに背をつけていた。心地よい温もりが俺に覆いかぶさってくる。スッとパジャマの中へ手が潜り込み、胸板を何度も撫でまわされて、俺は困ったように藤ヶ谷の肩を押した。
「興奮したら・・・眠れなくなっちゃうよな？」
「ダメ・・・よこーさんに怒られちゃう・・・！」
意味の察しはついたけれども、俺は玉に何かを悟られるような痕跡を残すわけにはいかない――誰よりもこの計画を成功させたいと思っている藤ヶ谷が、そんなことするわけがないと思っているからこそ戸惑いが隠せないのだ。
「鼓動を確認しているだけだ・・・すごく速いな」
「あ、当たり前じゃん！こんなことされたら・・・んっ・・・」
肩を押していたはずの手が、いつの間にかそこに手を置いてギュッと掴むものに変わっていた。藤ヶ谷と唇を重ねるといつもクラクラしてしまって、何かに縋らずにはいられない。そのままベッドに倒れこんで、何度も角度を変えてキスを交わし合う。すると、不意に俺のポケットの携帯が鳴り始める。藤ヶ谷が身を起こし、少しムスッとした顔をしてしまっているような気がして、俺は慌てて携帯電話を取り出した。
「ご、ごめん、藤ヶ谷・・・」
「渉か？」
無視しちゃおうか、と楽し気に笑いながら、俺の肩を引き寄せて頬に唇を寄せてくれる藤ヶ谷に微笑み、ディスプレイを確認すると――
「藤ヶ谷・・・！玉から電話が！」
昼過ぎに電話で話したから、と俺の中では完全にノーマークだった。このまま留守電になるまで待ったほうが良いのだろうか――咄嗟の判断ができなかった俺は思わず藤ヶ谷を見つめてしまった。
「・・・出るんだ、北山」
今度のデートの話かもしれない、と藤ヶ谷がコクッと頷くので、俺も頷き返す。万が一にでも藤ヶ谷の存在を悟られてはいけない、と俺はベッドを離れ部屋の隅に駆け寄った。壁に額をつけるようにして一呼吸をして――俺は通話ボタンを押した。
「玉、お待たせ・・・どうしたの？」
「ミツ・・・ごめん、何かまた声が聴きたくなっちゃって」
意外に甘えん坊なのかな、と俺はフフッと自然に笑みを零してしまっていた。気にしなくていいよ、と声をかけると、良かった、という玉の安堵の声が聴こえてくる。
「もう寝る準備してた？」
「うん。ちょうどそろそろ寝ようかなって・・・っ！！」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
