7-22 side:K ページ46
7-22 side:K
「気になる・・・うん、きっとそうだね」
とても気になる存在なのは事実だよ、と宮田は壁にかけてある北山用に作ったメイド服を再び切なげに見つめた。すると、千賀が宮田の頬を両手で挟み、すぐさま視線を自分に戻させる。
「千ちゃん？」
「お願い！それだったら・・・宮田がおミツを玉から奪って！」
「な、何を言うんだ、千ちゃん！俺は別にそんな・・・それに玉を裏切るなんて！」
「おミツが宮田を選んだならそれは別に裏切りでも何でもないじゃん！」
「せ、千ちゃん！」
宮田の腿に跨るように座り、千賀は宮田に縋るように抱きついた。戸惑いながらも、宮田はその抱擁に応えるようにして腕を回した。
「優しいね、宮田・・・優しすぎるくらい」
「千ちゃん・・・」
「・・・ニカと宮田が俺を抱くのだって・・・玉のおさがりになった俺をできるだけ玉の近くに置いてくれるためでしょ？」
その言葉に瞳を丸くしながらも、宮田は千賀をもっと強く抱きしめる。
「違うよ・・・ニカも俺も千ちゃんのこと大好きだからだよ」
「それも大事な友達としてだったら・・・嬉しいよ」
ありがと、と千賀も回す腕に力を込めた。
「その優しさなら・・・きっとおミツのことを包み込んであげることができると思う・・・」
自信もって、と千賀はその胸元に寄り添いながら――少しだけ赤い舌を唇の間から覗かせた。
――本当に騙して申し訳ないくらいの優しさの持ち主だから。
***
「・・・藤ヶ谷」
「北山、まだ起きてたのか？」
うん、とドアを半開きにして俺は藤ヶ谷のいる部屋を覗き込む。藤ヶ谷はベッドに座り本を読んでいたようだった。なかなか部屋の中に入らない俺を見てなのか、藤ヶ谷の表情が少し強張った。
「・・・警戒しているのか？」
「よこーさんが藤ヶ谷と寝ちゃダメって言うから・・・」
おやすみの挨拶だけ、と俺は切なげに藤ヶ谷を見つめた。それでも、藤ヶ谷が何度も手招きをしてくれると、俺は抗えずに部屋の中に入り藤ヶ谷に歩み寄ってしまう。
「何で一緒に寝ちゃダメって言われたの？」
「よく分からないんだけど・・・みっちゃんは大事だから、みたいなことを言われて・・・」
なるほどね、と藤ヶ谷は本を閉じてベッドに置き、代わりに俺の手を掬いあげて手の甲にキスをしてくれる。そして俺を見つめる上目づかいに――鼓動がゆっくりと高鳴っていくのを感じた。
「・・・じゃあ寝なければ・・・いいんじゃない？」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
