7-7 side:K ページ31
7-7 side:K
「いや、塗り薬だからね・・・」
よこーさんは困ったように微笑んで見せる。あまりにも当たり前のことを言われているのだろうとは理解できるが、どうしても受け入れがたい自分がそこにいた。
「だって、あの・・・そこに指を入れるってことに・・・」
「うん、そうだね」
「そんな・・・自分でそんなこと・・・」
よこーさんの淡々とした言葉と対照的に俺はあわあわしてしまう。どうしよう、と何度も自分の手元にあるクリームに視線を落とすことと天井を見上げることを繰り返しては呟く。すると、俺の手をギュッとよこーさんの手が握る。俺はびっくりして、顔を真正面に向けた。
「・・・俺が塗ってあげるよ、みっちゃん」
すぐに終わるから、とクリームケースを俺から取り上げて、俺に横になるように合図を送る。
「えっ、って、よこーさんが俺に・・・や、やだぁ！」
勘弁して、と俺は慌てて毛布の中に潜り込んだ。すぐによこーさんが毛布を捲り上げようとする気配を感じて、俺は強く毛布を掴んだ。
「ほら、みっちゃん。出ておいで」
「無理、無理！」
「・・・太輔からみっちゃんに塗ってあげて、って言われてるんだけど」
「・・・え、藤ヶ谷が・・・？」
どうして、と俺は少しだけ顔を出し、横尾さんを見つめた。それって俺はよこーさんの前でパジャマと下着を脱いで、指を入れてもらうってことなのに――俺がよこーさんに触られても平気なの、と俺は頬を膨らませた。
「太輔、きっとみっちゃんが自分でやるってなったら戸惑ってしまうだろうと思って俺に・・・だと思うよ」
みっちゃんの身体を心配しているんだよ、と俺に微笑むよこーさんに、藤ヶ谷の姿を重ねてしまう。藤ヶ谷に愛されるためなら――どんなことも受け入れなければ、と俺はゴクッと生唾を飲んだ。
「・・・して・・・」
「ん？」
「・・・優しく・・・して」
自分の顔が一気に真っ赤になるのを感じた。思わず毛布の中にしっかりと潜り込んでしまう。
「・・・可愛いなぁ・・・みんなが夢中になってしまうのも分かる」
俺のことも誘ってるのかな、と横尾さんの手が俺から毛布を奪い取り、強引に俺の身体をうつ伏せにした。
「ま、待って、やっぱり・・・まだ心の準備が・・・！」
「焦らすのが好きなんだね、みっちゃん」
玉にもその言葉を言われたと思う――別にそんな焦らすテクニックなんかを持ち合わせているくらいならこんなに苦労はしていないと思う。
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
