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「んっ、んっ！」
強く口づけられ息苦しくなったのか、千賀は片手で一生懸命二階堂の胸板を叩く。二階堂は口元を緩ませて、千賀から両手を離した。支えを失い、びっくりしたように千賀はベッドに倒れこむ。痛い、と少しだけ身体を起こして、千賀は何度も自分の背中を撫でている。
「なるほど・・・ね」
「・・・はぁっ、もうニカってば・・・もっと優しくして！」
携帯を投げ出して、二階堂の胸板を両手でポカポカと叩き抗議する千賀。そんな千賀を苦笑いで受け止めながら、不意に二階堂は千賀の顎を掴み掬いあげた。カァッ、と千賀はそんな二階堂に見惚れたように頬を赤く染める。
「強引な方が好きなくせに・・・で、またあったかくなった？」
うん、と千賀は先ほどまで怒っていたことを忘れたかのように二階堂に抱きついた。もう一度見つめあった二人は少しずつ顔を近づけていく。すると――
「あっ、ニカ、千ちゃん、おはよ！見てみて！！」
「おいっ、宮田！今、いいところだろ！」
邪魔をしないで、と叫びながらも、急に羞恥心が込み上げてきたのか、千賀は慌ててブランケットを手に取り身を隠す。大きなあくびをする宮田が二人に歩み寄った。
「というか、俺の家でそんなにいちゃつかれても・・・」
「えへ、いつもベッド借りてごめんね」
「・・・それより宮田、昨日俺達に混ざらなかったのに何でそんなに眠そうなの？」
ずっと居間の明かりついてたよね？と二階堂は頭をポリポリとかきながら、つられたかのように、大きく口を開けて息を吐き出す。
「え、だってほら、今度の土曜日に備えて準備しなきゃって思って」
「・・・そういえば今、手に持ってるのって」
徹夜で完成させました！と宮田はベッドの二人に向かい、黒地の衣装を見せる。
「じゃじゃーん、キタミツ用のメイド服でーす！」
ここのエプロンとスカートのフリフリがポイント、と宮田は満面の笑みで説明をし始める。
「ここのリボンとかなかなか思った形にならなくて苦労したんだよなぁ」
「いや、俺達にそんなに熱く説明されても・・・」
なぁ、と二階堂が千賀を見つめると、千賀が瞳をキラキラさせていて思わず目を見開いてしまう。
「いいなぁ、可愛い！ねぇ、宮田！俺のは！？」
「千賀・・・乗っかるんかい」
「せ、千ちゃんのは・・・これから・・・いりますかね、やっぱり」
「当然！」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
