6-22 side:K ページ24
6-22 side:K
「んっ、んぁ・・・」
ゆっくりと瞳が開くことで、俺は自分の意識が落ちていたことを理解した。ボーっとしたままながらも寝て起きる人の本能であるかのように、俺は身をゆっくりと起こす。その瞬間、ズキッと腰や臀部を走る痛み。これが快楽に落ちた証なのかと、俺は思わず何度も腰を擦ってしまう。そして、この部屋で起きた出来事が急に頭の中を駆け巡り始め、俺は恥ずかしさに顔を真っ赤にした。そう、俺は男同士で身体を繋げて、今――
「あ・・・んっ、あんっ・・・」
――その男の腕の中にいるということ。
藤ヶ谷が俺に後ろから腕を回し、俺の胸の突起を摘まんだり擦り上げてくるので堪らず声を上げてしまう。熱い唇が背中に何度も寄せられ、背中全体に広がっていく。
「熱い・・・っ・・・」
「・・・どうだった？」
「・・・は、恥ずかしい・・・」
「気持ちよかった？」
後ろから抱き締められているのだから顔を見られる心配ないのに――それでも俺は両手で顔を覆い、コクッと頷いた。こっち向いて、と身体を反転させられて、今度は藤ヶ谷の腕に抱き込まれる。見つめあった瞬間に、唇を何度も重ねあえば、まるで愛を囁きあう恋人同士のように――俺はキスに応えながら、優しく温かいこのひと時に蕩けてしまっていた。
「藤ヶ谷ぁ・・・」
「北山」
優しく口元に笑みを描いた藤ヶ谷につられるように、俺は満面の笑みを浮かべ――その表情のまま、藤ヶ谷の言葉に凍りつく。
「・・・これで玉に抱かれても大丈夫だな」
「・・・っ・・・」
瞬間、確かにあったはずの温もりが失せて、ブルブルと身震いが止まらなくなった。急に身体を震わせる俺に驚いたのか、藤ヶ谷の顔つきが神妙になる。
「寒い？今、身体を綺麗にして温めてあげるね」
ちょっと待ってて、と藤ヶ谷は俺から離れると、床に落ちていたバスタオルを拾い上げ、俺の肩にそっとかけて部屋を出ていく。バタン、と扉が閉まった音を確認すると、俺は無意識にベッドに倒れこんだ。シーツを手繰り寄せて、顔を埋めてすすり泣く。
「・・・何を期待してたんだよ、俺・・・」
最初から、そういう関係だった――この行為だって、玉が俺を抱いたという真実を守るためにだけ行われた。藤ヶ谷にとっては、俺が玉の天使でいることの方が重要なのだ。そして、俺はそれに従っただけ――そこに俺の感情が入る余地なんてなかった。
――そう、これは俺が堕天使になるための、ただの儀式・・・！
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
