5-20 side:K ページ49
5-20 side:K
「・・・いいよ」
えっ・・・、と途切れたキスに目を開くと、扇情的な藤ヶ谷の顔――おいで、と唇が動き、俺は無意識に扉から背を離し、藤ヶ谷の腕の中に飛び込んだ。何もかもがよく分からない。この突き動かされる衝動は一体何なのか――顔を見合わせてまた唇を近づかせる。今度は藤ヶ谷の瞳を見つめたまま――
「・・・っ!」
「・・・済まない、電話がかかってきた」
藤ヶ谷のポケットに入っているらしい携帯電話の振動が、抱き寄せあっている所以か自分にも響いてきて俺はびっくりしてしまう。
「・・・むー・・・」
携帯電話をすぐに取り出し、俺とのキスよりも明らかに電話を優先する藤ヶ谷に俺は頬を膨らませた。藤ヶ谷は携帯電話を耳に宛がいながら、通話に出る直前に俺の頬にチュッとキスをする。
「中に入ったら・・・望み通りたっぷり可愛がってあげるから」
「・・・っ、いや、俺、そこまでは・・・!」
シー、と立てた人差し指を唇にあてて、ウィンクをするそのセクシーな仕草に俺は鼓動の高鳴りを抑えきれなかった。少し俺と距離を置き、背を向ける藤ヶ谷の姿を見て、俺は先ほど宮田に告げた言葉を思い出し、自分の携帯電話を取り出した。
***
「折り返し遅くなってごめん。助かったよ、的確な情報をすぐに送ってくれて」
さすがだね、と玉森は北山を縛っていた縄を手に取り、弄びながら笑みを零す。
「ああ、上手くいったよ。なるほどね。あんなに優しくて純粋な天使には・・・強引に抑えつけるよりも甘えたほうがよかったみたいだね」
フフッ、と玉森は先ほどまでキスを交わしていた北山の姿を思い浮かべては微かに頬を染める。
「何が目的かは分からないけど・・・俺の腕に飛び込んでこようとするうちは、決して逃がしはしない」
たっぷり可愛がってあげる、と玉森は縄を床に叩きつけた。
「ただの可愛い子猫なのか・・・それとも猫の皮をかぶったトラなのか・・・」
これからじっくり確かめさせてもらうよ、と玉森は不敵な笑みを浮かべて電話を切る。その途端にメッセージが入った音がして、玉森は再度携帯に視線を落とした。
“無事に到着しました。送ってくれてありがとう。宮田にもよろしく伝えて”
「・・・それは良かったね、ミツ」
今度からは“悪い人”に攫われないようにね、とクスッと玉森はディスプレイに写し出された北山の名前にそっと唇を寄せた。
***
next→5-21へ
563人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時