5-5 side:K ページ34
5-5 side:K
「・・・好きにすれば」
「じゃあ、そうさせてもらうね」
何か飲む?と宮田が俺から離れ冷蔵庫の方に向かい始めたのを見て、俺は大きくため息をついた。改めて部屋の中を見回してみる。大きなベッドを見つめていると、昨日の出来事が――未遂に終わったとはいえ、玉に無理やり俺は抱かれるところだったのだ。ふと目を逸らすと“ニカ”が俺のことをじっと見つめていて、目のやり場に困るようにして俺は宮田の方に視線を送った。
「あれ、俺が恋しいのかな、お姫様」
「いや、キタミツって呼ぶって言ったじゃん・・・」
「ごめんごめん、俺にとってはみんなお姫様だから、つい」
王子様だから、と宮田は俺の前にお茶を差し出してきた。王子様、と言われたことになんとツッコミを入れたらいいのかよく分からなかった。本人はいたって真面目そうに回答しているのできっとそうなのかもしれない。
「お茶でいいかな」
「・・・ありがと」
そうは言っても後ろ手に縛られていては飲めようもない。察したように、宮田がペットボトルのキャップを外してくれている。昨日はお茶を飲んで身体が――でもさすがに開けたばっかりなら大丈夫か、と俺は疑念を抱えたままながらも、宮田が唇まで持ってきたペットボトルから注がれるお茶を口に含む。プクッと頬を膨らませて少しずつ喉を動かすかのようにゴクゴクと飲んでいると、宮田がクスッと微笑んだ。まさか、このお茶にもやっぱり――
「なんか、マジで可愛い」
リスみたい、と宮田は俺の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。その笑顔を見ていると、何だか純粋そうで優しそうで――
「・・・宮田」
「うん?・・・って、いきなり呼び捨て、ははは」
「・・・腕が痛いから・・・解いてほしい」
――きちんとお願いしたら、助けてくれるかもしれない。
「・・・いいよ」
「えっ、本当!?」
「その代わり・・・ほっぺにチューしてくれたら」
「・・・なっ!?」
言葉を詰まらせて動揺している俺に、冗談だよ、と宮田は口元をニヤニヤとさせている。けれど、瞳はずっと俺を捉えて離そうとはしない。ゴクッと俺は生唾を呑んだ。
「キタミツには悪いけど・・・玉の命令は絶対だから、それはできないよ」
もう到着すると思うから我慢して、と宮田はまた俺の頭を撫でる。柔らかい物言いではあるけれど、そこには玉への確固たる忠誠にも近いような信念を感じた。宮田にとって玉の存在はきっと大きいものなのだろう――
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時