4-5 side:K ページ28
4-5 side:K
「んっ、んっ・・・」
「・・・北山・・・」
「ふじ・・・んんっ・・・!」
唇が離れる都度、名前を呼ばれて、呼び返そうとすると塞がれる。気がつけばお互いの身体に腕が絡みついていて――心地よい息苦しさに、次第に瞳がうるんでしまう。チュッと音を立てて唇を唇で噛まれるたびに、藤ヶ谷に吸い込まれていくようだった。その度に距離が近づいて、唇以外の場所も触れ合い始めると、全てが一つになっていく錯覚を覚える。眼鏡ごしの藤ヶ谷の瞳は、あの夜と同じように艶めかしくて、視線を逸らすことができない。それどころか、もっと見ていたくて、一生懸命背伸びをしながら、藤ヶ谷のキスに応える。一番強く吸い上げらた瞬間に、ゆっくりと離れていく唇。まだ欲しいとでも言わんばかりに、唾液の糸が二人を繋いでいた。
「んぅ、はぁっ、はぁっ・・・」
もう終わり?という気持ちで藤ヶ谷を見つめていると、俺ももっとしたいけど、と藤ヶ谷がそっと口の端に伝うものを掬い、俺の口内に指を差し込んだ。意味も分からずそれに吸いついていると――
「残念だけど・・・タイムアップだ」
不意に耳に届いたのは、時を告げるチャイムの音だった。授業に行かないと、と藤ヶ谷は俺から指を抜いて、今度は頭をポンポンと撫でてくる。
「・・・北山、改めてお願いしたい。俺達に力を貸してくれ」
「・・・うん」
「ありがとう、北山・・・俺のために」
他の選択肢なんて選べそうになかった。もしこんなことでもなかったら、同じ大学にいても藤ヶ谷とこうして巡りあえることなんてなかったかもしれない。こんな風にキスなんかできなかったかもしれない――そう考えたら藤ヶ谷の正義感にほだされたからとかでもないのかもしれない。心地のよい腕に抱き締めて欲しくて、俺は俺のために、頷いたのかもしれない。
「じゃあ、契約の証に」
「・・・えっ、ちょっと待って・・・あんっ!」
不意に首筋に藤ヶ谷の唇が触れたかと思った瞬間、急に激しく吸いつかれ、俺はビクッと身体を跳ねさせた。
「可愛い声だな・・・もっとして欲しい?」
「んっ!やだ、何をっ・・・もうっ!」
思わず藤ヶ谷の肩を突っぱねて距離を取る。せっかくロマンティックな気持ちになっていたのに、と俺は頬を膨らませた。
「今度は虫よけ・・・かな?」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時