2-11 side:K ページ15
2-11 side:K
「や・・・あ・・・やめてぇ！」
伸ばされる玉の手を何度も振り払おうと腕を必死で動かすが、その度に受け止められたり避けられてしまったり、次第に朦朧としていく意識の中、ただ何度も手が空を切る。不意によこーさんの“悪い人”という言葉が頭を過ぎった。自分は今、玉に何を飲まされたのかと不安が急激に全身を覆い始める。もしこれが悪い薬とかだったとしたら、もう仕事どうこうの話ではなくなってくるだろう。
――やっぱり、玉は、“悪い人”なの・・・！？
俺は必死に顔を動かして、目の前に座っているだろう藤ヶ谷をぼやけた視界に移すと、俺達の状況など感知していないかのようにまた携帯に目を落としている。その姿に俺は愕然としてしまった。本当に藤ヶ谷は、俺を玉の慰み者にするためにここへ連れてきたのだ。だから俺を懐柔して手ほどきをして――いろいろな考えが巡るが、身体と同じように心が何の動きにもついてこれない。ただただこれからのことが怖くて、俺は身を震わせた。
「ほら、抵抗しても無駄だから・・・よっ！！」
「やだぁ！」
掛け声とともに玉の両腕に抱きかかえられ、今度は全身が宙に浮いた気分になる。じたばたと足を動かしてみても玉はまったくびくともせずに大きな真っ白なベッドに俺を連れて行く。ベッドの中心にドサッと大げさな音を立てて俺は投げ出された。柔らかすぎるベッドにそのまま飲み込まれてしまいそうだった。さらに、玉がすぐに俺の上に乗っかってきたから尚のこと――二人分の体重がかかり、ベッドがギシッと嫌な音を立てた。
「俺を焦らしたりするからだよ、ミツ・・・我慢できない」
「お、お願い・・・やめて・・・あっ！！」
Yシャツを思いきり両手で引きちぎられ、ボタンがプチプチと外れて、俺は胸元を大きく開かされた。玉は愉快そうな笑みを浮かべている。
「・・・綺麗な身体してるね、ミツ」
相変わらずいい匂い、と俺に覆いかぶさった玉は首筋に顔を寄せ、また匂いを嗅ぐ仕草をしてみせる。俺は何とかしないと、と玉の肩を一生懸命押して引き離そうとするが、視界がぐらつき、あっけなく俺の両手はベッドに落ちた。身動きもできなくなっている俺の肌に容赦なく玉は唇を寄せて刺激を与えてくる。玉の指先が俺の胸の突起に触れた。
「あっ、やんっ！」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年5月7日 0時
