3-5 side:K ページ22
3-5 side:K
「・・・みっちゃん」
「俺・・・俺、玉に・・・ベッドで・・・なのに」
俺は俯いて自分のズボンをギュッと掴む。
「みっちゃん、落ち着いて」
「・・・藤ヶ谷も助けてくれなくて・・・しかもあんなこと・・・」
相棒じゃなかったの?と俺は唇を震わせてしまう。ポタっと一粒の涙が頬を伝い落ちた。
「ごめん・・・まさか最初からターゲットの懐に入り込めるなんて思わなくて」
改めて説明するね、と茶封筒の横に置かれる一枚の写真。そこに写っているのは――
「玉森 裕太・・・俺達が半年くらい追ってるターゲットだよ」
「・・・そんなに前から?」
「太輔が上手いこと裕太と仲良くなれたのはいいんだけど・・・なかなかしっぽを掴むまでいかなくてね」
いろんな方法を取ってみてたんだけど、とよこーさんの表情が少し険しくなる。
「それって・・・玉が言ってた“貢ぎ物”・・・?」
「・・・そうだよ」
「・・・っ、じゃあよこーさんは・・・俺が玉に貢がれるのを知ってて・・・仕事に誘ったの?」
俺は思わず涙に濡れた瞳でよこーさんを睨みつけてしまった。よこーさんは少し肩を竦めて、小さく微笑んだ。
「きちんと説明しかなったのは・・・謝るよ。でも報酬はこうして・・・」
「そういう問題じゃない・・・!」
やっぱり三人とも悪魔だったのだ――天使のような玉に、小悪魔みたいな藤ヶ谷に、聖母のようなよこーさん。三人ともそれぞれに騙されて、俺は羽根を狩られたように支えを失って地面に落ちたのだ。
「・・・お金は・・・いらない。だから俺・・・もう帰るね」
いろいろありがとう、と俺はよこーさんにテーブルを滑らせるかのように茶封筒を返すと、そそくさと帰り支度をしようと立ち上がった。スーツでバーに行かなければならないと思い、荷物は持って行かなかった。なけなしのお金の入った小銭入れに程近い財布はズボンのポケットに入っているようだ。これなら何とかなる、と俺は足早によこーさんの家のドアへ向かおうとした瞬間、背後から肩と腕を掴まれる。突然のことに身体を慄かせ、俺は戸惑い気味に振り向いた。
「よ、よこーさん!?」
「・・・携帯電話、持ってないんじゃない?」
その言葉にハッとして俺は自分の身体を辿るかのように撫でてみる。確かにどこにも入ってない。俺は顔を青ざめさせてよこーさんを見上げた。
「その・・・返して・・・」
「・・・みっちゃんの携帯なら・・・太輔が持ってるよ」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2019年5月7日 0時