まえあし短編集(SS)～キスパ～(藤→北←玉) (ページ33)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:53,188 hit

キスパ33(藤→北←玉) side:F ページ33

33

“ミツー、バブー！ミルクー！”
“はいはい、玉ちゃん・・・今、お胸を出すねー”
「いや、北山、ここは俺が玉にミルクを飲ませるから」
　哺乳瓶の温度はこれくらいかな、と粉ミルクを混ぜるようにして俺は北山と玉の間に割って入る。俺をペシペシと叩いて抵抗する玉をムギュッとして、抵抗を封じ込める。
“やだー、ミツー！ゴクゴク・・・”
　哺乳瓶の吸い口を玉の口に入れて、ミルクを飲ませると、幼子のように玉はチューチュー吸いながら、次第に大人しくなっていた。そんな様子を微笑ましそうに見つめていた北山はそっと俺の背中に寄り添う。
“藤ヶ谷・・・ううん、あ・な・た♪とっても優しくてかっこいい・・・！”
「子供の世話をするのは、父親として当然だからな」
“うん！・・・でも、俺のお胸がちょっと寂しいかなって・・・”
　そう言ってエプロンを脱ぎ捨て、Yシャツのボタンを一つずつ俺に見せつけるようにして脱いでいく北山――俺は玉をそっと布団に寝かしつけ、北山に向き合う。そして、哺乳瓶を開け、余ったミルクを手に馴染ませ、北山の胸を撫でまわす。
“あんっ、ダメッ！”
「誘ったのは北山の方だろう・・・じゃあそろそろどんな味がするか試させてもらおうかな」
　優しくするから、と言って俺は北山を抱き寄せ、胸に舌を這わせていく。誘うように身体をくねらせ、顔を赤らめて俺を見つめるその姿は、ただただ俺を煽っていく。
“藤ヶ谷・・・あんっ・・・おいしい？”
「ああ・・・堪らないな、癖になりそう」
“俺も・・・気持ちいいの・・・ねぇ、俺にも藤ヶ谷の熱いミルクを・・・！”

「こらぁっ！！誰が赤ちゃんなんだよ！」
　というかミツで下品な妄想するな！と玉に頬を伸ばされて俺は我に返った。
「今、すごく良い所だったのに・・・！玉、何度も言うが北山のお胸は俺のものだ！！」
　ライブで俺が北山の胸にペンキを塗っていたところを見ただろう、と俺が抗議すると、玉はヒヨコのように唇を尖らせた。
「途中から腕になったくせに！」
「それは北山の綺麗なお胸を守るために仕方がなくだな・・・！」
　まさかの食物アレルギーを発症してしまった北山に申し訳なさそうに告げられたときの俺のショックは計り知れないものだった。いや、もちろん北山が心配で、のショックだ。公衆の面前で俺の北山だと言わんばかりに撫でまわせなくなってしまったのがショックだったわけじゃない！(誰に言い訳をしているの？by玉)

next→34へ