キスパ26(藤→北←玉) side:T&F ページ26
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森の出口まで足を進めると、恐らく呆然としているであろう他のメンバーの姿が見えてきたことを確認したのか、ミツが俺の服の裾をパッと離した。いろいろ名残惜しいけれどまだ収録中――俺とミツはそれぞれの立ち位置に戻っていく。
「いや、何か分かんないけど玉の勝ちだね」
ようやくハッとしたように笑い始めた宮田の顔を見て、ミツも困ったように微笑んだ。
「なんか・・・負けたわ」
その言葉に俺はクスッと笑みを零してしまった。ミツにジッと視線を送ると、目が合った瞬間に恥ずかしそうに逸らしてしまう。むしろいつもどんなに見つめても大切な仲間や弟を見守るだけの優しい笑みを返してくれていただけだったのに――ミツが俺を本当に意識してくれていることを感じて胸が熱くなる。ああ、その可愛い笑顔をもっと近くでみたい。早く収録終わらないかな、と腕時計もないのに時間を確かめる素振りをしてしまう。
――さぁ、観念したなら、早く俺の気持ちに応えて?
***
side:F
「何だよ、この雰囲気・・・!」
それぞれ端っこの立ち位置に戻って来る北山と玉――玉は何かの手ごたえを得たかのように北山に視線を送る。いつもなら玉がどんなに愛おしそうに見つめても、ニコッとはにかんだりするくらいでその邪な視線に宿っている意味などまったく気に留める気配すらなかった北山。今は恥ずかしそうにして目を逸らしながらも、むしろその姿で何かの返事を送っているようだった。すると、今度はそんな北山を心配そうに見つめる俺の視線に気がついてくれたのか、北山がトコトコ歩み寄ってくる。
「・・・藤ヶ谷、仕切ってくれてありがと」
代わるね、と微笑みかけてくれる北山の頬が薄っすらと赤く染まっている。いつもならばその笑顔を見れば高鳴る俺の胸が、今は冷や汗を伴う変な鼓動に変わっているように感じた。
――玉の奴、北山に一体何をした・・・!?
北山と反対側のブロックになってしまった俺は少しがっかりしながらも、一回戦目の北山に声をかけて、ここは俺が仕切ることを告げた。本当は直接対決してむぎゅむぎゅできれば一番良いのだが、玉よりも少しでも北山の好感度ポイントを上げておきたかった。それに俺も北山も負け進めば戦えるチャンスはある。
「それでは、スタート!」
俺が合図を送ると、北山と玉は地面に立てた額をつけてぐるぐると回り始める。
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年12月3日 0時