キスパ23(藤→北←玉) side:T ページ23
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力を抜いて俺になされるがままになったミツを、俺は完全に肩の上に担ぎ上げた。時折自分の指に触れるミツのお尻の弾力を感じて思わずニヤついてしまいそうになるが、今はここからミツを連れて行くことに集中しなきゃと、唇を引き締めた。ミツはしっかりと俺の腕を掴む。
「何これ！」
「何これ！」
ガヤの戸惑う声に続くようにミツの同じ言葉が聞こえる。本人たちが意識していないところで、すぐにシンメになってしまうミツとガヤ――このまま二人の気持ちまで重ねさせる訳にはいかない。
――ガヤにアドバンテージを取るには、こうするしかないんだ！
「何これ！」
玉ちゃん怖いよ、とミツのか細く不安そうな声が耳に届くが、俺はいきりながらその足を止めることはしない。
「お持ち帰りされてるー！！」
「場外、場外！俺の勝ち！！」
そして、勝利宣言をしながら、みんなが呆気に取られている間に、俺はそのまま森の中へと入っていく。
「待って、玉ちゃん！どこまで行くの！？」
そんなに遠くまでは正直腕力の関係もあるし、我に返った他のメンバーに駆けつけられてしまう可能性がある――どこかいい所はないかなとキョロキョロすると、大きな木の根元に落ち葉がいっぱい詰まれているとことがあった。周りに茂みもあってそうそうすぐには見つからないだろう。俺はそこへ向かい、気の前でミツを抱っこするようにして肩から下ろした。その反動でミツを抱きかかえたまま、落ち葉の中にミツを押し倒してしまう。
「きゃんっ！」
「ミツ・・・！」
俺はミツの両手首を片手ずつ掴み、戸惑いを隠せないミツの顔の横に抑えつけた。その瞳に動揺が走ったのを感じたが、そういうことか、とミツは口元を緩ませた。
「玉ちゃん・・・えへへ、倒されたから俺の負けだね」
地面だと危ないから安全なところまで運んでくれたんだね、と微笑むミツに、俺は頭を抱えてしまった。本当に真っ直ぐで純粋でとても優しくて可愛らしいミツ――胸に抱えている俺の気持ちを伝えてしまうことで、この笑顔を見られなくなったとしても俺の本当の気持ちを知って欲しい。
「・・・違う・・・！俺は、俺は・・・！」
「玉ちゃん・・・？」
時間がないから単刀直入に言うね、と俺はミツを真剣な瞳で見据えた。
――神様、女神様、俺にチャンスをください・・・！
「ミツ・・・好きだ・・・！！」
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作者名：ほわわ
| 作成日時：2018年12月3日 0時
