まえあし短編集(SS)～キスパ～(藤→北←玉) (ページ18)

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キスパ⑱(藤→北←玉) side:F ページ18

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「ミツ！俺が勝ったところ見ててくれた？」
「うん！玉ちゃん、おめでとう」
「じゃあ、ご褒美に俺にちゅっちゅを・・・！」
　ひよこ口でぴよぴよするかのように唇を動かし、北山の顔に近づいていく玉――えっ、とちょっとびっくりして目を丸くしている北山は身体が竦んで動けないようだった。俺は慌てて玉を羽交い絞めにして止める。
「ガヤ！邪魔しないでよ！！」
「一回勝ったくらいで調子に乗るな！」
　そしていつも俺とやりたいことがかぶってる！と俺は玉を何とか北山から引き離した。
「宮田！早く来い！」
　次は宮田の番だろ、と声をかけると宮田は慌てて俺達に駆け寄ってくる。スタッフさんからも早く進めるように声がかかり、北山も宮田に歩み寄った。
「さて、次は俺と宮田か」
「へへっ、キタミツがちょー弱いのは知ってるからね！悪いけど勝たせてもらうよ」
　楽勝だな、と浮かれている宮田に北山はちょっと頬を膨らませたようだった。このまま宮田に可愛い北山を叩かせるわけにはいかない。引き離しておいて何だが、ここは玉に協力をしてもらわないと。玉に視線を送ると、察していたらしく、コクンと頷いた。
「・・・ミツのためだよ」
「分かってる・・・タイミングでみんな気を逸らしてくれ」
　了解、とちょっとだけ不満を残している玉が一番端に歩いていく。俺は北山にニッコリ笑いかけた。
「北山、北山の番の時は代わりに俺が仕切るよ」
「藤ヶ谷、ありがと」
「じゃあ二人ともくじを引いて」
　二人はボックスの中に手を入れてくじを引いたようだった。そして、二人が番号を確認しようとしたそのとき――
「あーーー流れ星！！」
「えっ、どこどこ！？」
　玉が大声を出し、指をさしている方向をみんなで見つめる。俺もそれにうっかりつられそうになるが、その間に北山と宮田の番号を確認して、武器と防具のシールを張り替えた。北山にはピコピコハンマーと一番しっかりしたヘルメットを。そして、宮田には俺が先ほど手にした小さすぎるヘルメットと――
「やべーぞ、これ。すごいハンマーを手に入れたぜ！」
　空気を入れて膨らませた特大ハンマーを担ぎ、ちょっと困ったように笑う宮田に、かっこいいよ、と告げて気を逸らせる。これだけ大きければ振りかざせないし、万が一北山の頭を叩くことになってもクッションのようになるだろう――
「北山、頑張れ・・・！」

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