まえあし短編集(SS)～キスパ～(藤→北←玉) (ページ15)

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キスパ⑮(藤→北←玉) side:F ページ15

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「宝くじ当てて～」
　続いて出てきた宮田の回答に納得しながらも、結果的には千賀さんの冠番組に対する皮肉っぽい言葉が大賞をとった――俺はみんなからペンを回収し、玉の前にドンと置いた。せっかく北山をアシスタントの位置に置いておきながらあまり距離を詰められず、ちょっとだけ悔しそうな表情をしている玉に、俺はちょっとだけ優越の笑みを浮かべてみる。
「・・・ここはイーブンってことにしておこうか」
「ふんっ、これで勝ったと思うなよ、ガヤ・・・！」
「あれ、超セクシーだな、キタミツ・・・」
　宮田の声に慌てて北山に視線を送ると、どうやら北山は背後に置かれていた物に気がついて身を乗り出すようにして手に取っていたようだ。グラビアアイドルのような寝そべるような体勢に宮田もセクシーだと思ったのだろう。だが、自分が北山を瞳の中に映した瞬間には北山は元の座る体勢に戻っていて――DVDで作品になったものを穴が開くほど見よう、と俺は心に誓ったのだった。北山の手にはピコピコハンマーが握られている。キスマイ名物、とニカが声を上げる。
「叩いてかぶってじゃんけんぽん！」
外でやっちゃおう暑いから！という北山の号令につられ、玉が真っ先にテントから出ていく。俺達はドタドタと後を追いかける形で涼しい風の吹く外に飛び出した。
「叩いてかぶってじゃんけんぽん日和でしょ」
　どうやらここは北山が仕切るコーナーらしい。少しでも近くにいたくて北山の隣を玉と取り合っていたら、間に舞祭組の4人が入っていていつの間にか二人して一番遠いところに追いやられてしまっていた。北山が一生懸命ルールの説明をし始める。どうやら今回の叩いてかぶってじゃんけんぽんは、武器のアイテム・防具のアイテムがそれぞれ4種類あり、それをくじ引きで決めるようだ。
「俺、一回目ちょー弱かったんだよね」
「キタミツが弱いのは知ってる」
確かに一回目の走るバスの中でやったとき、北山は最弱と思われた千賀とかなりいい勝負をしていた。ただ今回は何の武器・防具を引き当てるかで有利にも不利にもなる――このゲームでは弱い北山も勝てる可能性があるかもしれないな、と俺は大きく頷いた。対戦相手を決めるためにトランプを差し出され、それをみんなで引いていく。北山は6番だった。
「僕の対戦相手は僕だよ、5番！」
　北山の対戦相手は宮田――すると、俺の横にいた玉がカードをかざした。
「はーい、4番わたくし～」
　
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