まえあし短編集(SS)～キスパ～(藤→北←玉) (ページ13)

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キスパ⑬(藤→北←玉) side:T ページ13

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「自分の中でもいいってことだよね？」
　衝撃的だった言葉とか・・・？と千賀さんを中心に質問が矢継ぎに飛び出すが、俺の考えたものなのでゆるふわしているのでそんな明確なものは正直ない。
「そんなの自分で考えろや！」
　全部聞くな！と俺はミツに記入する紙ボードを手渡し回してくれるようにお願いする。こうしてアシストを完璧にこなしてくれて――こういうパートナーがいてくれたらいいなって思ってしまう。

「ミツ、いつもありがとう」
“他に何かある？玉ちゃん・・・何でも言って”
「じゃあ・・・口元が寂しいんだけど・・・」
“飴にする？それともガム？”
　違うでしょ、とミツを膝の上にのせて鼻先をペロッと舐める。
“キス・・・でしょ？”
「分かってて俺をじらしたんだ・・・悪い子」
　じゃあ俺も、と、俺はミツの顔を引き寄せ、顔中にそっと唇を寄せる――唇以外に。何とか俺のキスにあわせて唇を動かすミツの紅潮した顔が可愛すぎて俺はうっとりしてしまう。
「やっ、あっ、玉ちゃん、ごめんなさいっ・・・！」
　唇にして欲しいと言わんばかりに、瞳をうるませながら唇を差し出すミツに俺は思わず口元を綻ばせる。
「これは誓いのキスだよ、ミツ・・・キスしたらミツはもう俺の永遠のパートナーだから」
“うん・・・俺を玉ちゃんの花嫁にして・・・！”
　重なり合う唇に優しく蕩けあい一つになっていくようだ――

「おい、玉・・・大体お前の想像していることが分かるぞ！」
　正気に戻れ！とガヤの怒声が飛ぶ。俺が我に返ると、みんなが心配そうに俺を見つめていた。書いたけど出していい？と言わんとしているニカを促す。
「じゃあ俺・・・“りょうかい”」
「了解・・・？」
「みんな言ってたでしょ！」
　いつも言ってる、と笑いあうニカ千。確かにメールのやり取りでは頻繁に使うけど、とちょっと納得してしまう。俺の答えもニカに寄せるか。
「確かに言ってた・・・でもそれ以上に言ってたのが・・・」
　そう言うとミツがボードをひっくり返す。
「ねぇ、ワタワタ」
　可愛い答えに思わず俺も笑みを零してしまう。
「ガヤさんね」
「いや、玉ちゃんも言ってる」
　その言葉にドキッとしてしまう――ミツ、俺が何てメール打ってるか覚えてくれているんだ、と。でもときめいたのもつかの間――全員分を普通に覚えているということで、俺は思わず大きなため息を吐いた。

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