まえあし短編集(SS)～キスパ～(藤→北←玉) (ページ2)

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キスパ②(藤→北←玉) side:F ページ2

キスパ②

「北山、背中が汚れちゃうから・・・俺の上においで」
“・・・うん・・・じゃあ・・・”
　そう言って俺は北山を抱きしめたままコロン、と転がり北山を自分に乗せる。そっと身体をムギュッと抱きしめて何度もキスを交わし合う。
“藤ヶ谷・・・藤ヶ谷の熱いのが欲しいの・・・”
　いい？と俺のジーンズのベルトに手をかけて、頬を赤く染めてこちらを熱っぽく見つめる北山に俺は生唾をゴクッと飲んでしまう。
「北山・・・もうお前を抱きたくて滾ってる・・・鎮めてくれるか？」
“・・・うん・・・頑張るね・・・！”
　俺に跨るように足を開く北山がゆっくりとズボンと下着を脱ぎ去っていく。
「北山、綺麗だ・・・愛してるよ」
“藤ヶ谷ぁっ・・・！！”

「太輔！太輔！口から尋常じゃない涎が出てる！！」
　早く拭かなきゃ、と渉が俺の口元を大慌てでハンカチで拭ってくれる。
「ご、ごめん」
「もう、どんな夢見てたの！？」
　水でも飲んで落ち着いて、と渉がペットボトルを差し出してくれる。俺はそれを受け取り、一口飲む。鏡を取り出して見ながら、涎の跡が残っていないか入念にチェックをした。
「・・・そういえばいつでも北山とキスできるようにうがいしておくか」
　水を結構な量を口に含みブクブクと口をゆすぎ始める。
「た、太輔！？何、急に！？というかその水どうするの！？」
　リスみたいに頬をプックリさせたまま、俺は水を吐き出すことができず首をキョロキョロさせてしまう。
「むぐー、むぐぐー！(渉ー、どうしようー！)」
「ちょっと落ち着いた行動をしてくれよ！」
　ほらこれにペッて出しな、と渉がエチケット袋を出してくれる。袋に向かって俺は水を勢いよく吐き出した。少し息苦しくて、大きく息づいてしまった。渉が優しく背中を擦ってくれる。
「ご、ごめん、渉・・・」
「太輔、本当に浮かれすぎ・・・気持ちは分かるけど」
　そろそろみっちゃんが乗ってくるから身だしなみ整えて、と俺の考えていることがほとんどお見通し(妄想の内容まで見抜かれてたら恥ずかしいなぁby俺)になっている渉にもう一度鏡を差し出され、俺は自分の顔を確認する。
「みんな、おはよ！」
「裕太！おはよ！！」
　北山は確か玉と一緒に合流だったな、と俺は笑顔を作り顔を上げた。
「・・・えっ！？」
「玉ちゃん、俺、恥ずかしいよ・・・」

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