12時に解ける魔法（玉北） (ページ11)

今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:115,061 hit

12時を過ぎても⑤「怖がらないで、ミツ・・・」ページ11

「ミツ・・・本当に？もう止められないよ・・・？」
　ゆっくりとその腕に抱え込むかのように玉が俺を抱き起こす。おでこ同士をくっつけ、何度も、大丈夫？と確認をしてくれる玉の優しさに、俺は何度も首を縦に振って頷いた。大好き、と微笑みかけると、玉が嬉しそうな表情で何度もキスをしてくれる。唇が離れる都度、愛してる、と繰り返し呪文のように囁かれ、その言葉にこの上ない喜びを感じている俺は、すでに玉の魔法に囚われて虜になってしまっていることを思い知るのだ。
「玉ちゃん、大好き・・・俺を玉ちゃんの好きにして・・・！」
「ミツ・・・愛してる、ミツと・・・もっと一つになりたい・・・！」
　俺は玉の頬に両手で触れ、強く吸い付くようなキスをしてくれる玉を受け止める。玉の綺麗な指先が俺のシャツのボタンにかかり、一つ一つ上から丁寧に外されていくたびに、鼓動がドクンと高鳴っていく。すべて外され、肩からシャツを落とされる瞬間に、俺も袖を腕から抜いた。
　玉はベットから降り床に立つと、少し腰を屈めて俺のズボンに手をかけた。ボタンが外され、ジッパーがゆっくりと下ろされると、緊張が強くなり身体が無意識に強張っていく。
「怖がらないで、ミツ・・・」
　俺に全部委ねて、と心境を察したかのように玉の掌が俺の髪の毛を何度も撫でる。その優しい動きに俺は玉の瞳を見つめ小さく微笑んだ。
「うん、玉ちゃん・・・」
　俺がゆっくりと腰を上げると、玉に下着ごと足からズボンを抜かれ、その勢いで靴も靴下も脱げ落ちる。身に纏うものが何もなくなった瞬間に、俺は思わず息を呑んだ。
　12時になった瞬間に、愛する人の腕の中にいたらどうなってしまうのだろう。月の光を集めて作られた魔法のドレスは消えて、身に纏うものは足元のガラスの靴だけになってしまうのだろうか。その時、王子様はどんな風に思うのだろうか――
　俺は胸元で腕を組み、そっと玉を見上げた。
「・・・玉ちゃん・・・」
　少し困惑したような瞳で俺を見つめているような気がする、と俺は瞳にじわっと涙が込み上げてくるのを感じた。それもそうか、と俺は唇をキュッと噛み締める。恋人同士だけど、身体は男同士なのだから。この身体で玉を喜ばせてあげられるのかとか、経験がないから正直分からない――

――12時に魔法は解ける。

　魔法が解けて本当の姿を見たら王子様が興醒めしてしまうと思ったから――シンデレラは魔法が解ける前に王子様から逃げ出そうとしたのだろうか。

next