青春ドンスト！(藤北←玉) (ページ6)

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アイドル部にて①　side:K ページ6

アイドル部にて① side:K

「・・・怒ってるかな、藤ヶ谷・・・」
　生徒会メンバーに入れてくれたということは、本当は打ち合わせとかしないといけなかったのかもしれない――そう考えると悪いことをしてしまったな、と俺は少しだけ開いた部室の扉からそっと中の様子を窺う。すると、まだ誰も来ていないようで、部屋の中はシーンと静まり返っていた。思わずホッとため息を吐く。
「なんだ、まだ誰も来てない・・・！？」
「・・・ちょっとだけ遅刻だぞ、北山」
「うわぁっ！」
　部室の中で扉に背をつけるように立っていた藤ヶ谷に気がつかず、入った瞬間に声をかけられて俺はびっくりしてその場で腰を抜かしてしまった。その状況にむしろ藤ヶ谷が驚いてしまったようで、慌てて手を差し出してくれる。
「ほら、掴まって」
「・・・うん・・・」
　手をギュッと握られると、藤ヶ谷の温もりがゆっくりと自分の掌に伝わってくる。グッと腕を引かれ、今度は前のめりになるようにして、藤ヶ谷の腕の中に着地する。制服の上からなのに、藤ヶ谷の熱が全身にじんわりと伝っていって、身体全体が熱くなっていく。顔を上げて、瞳を合わせた瞬間に、一気に熱が沸騰したように、頬を真っ赤に染めてしまった。自然に本音が溢れていく――
「・・・藤ヶ谷、さっきはごめん。その、俺、ちょっとムキになっちゃって」
「俺の方こそ、茶化してごめん・・・ちゃんと説明してもいいか？」
「うん、お願いします」
「・・・俺はお前のことが・・・」
　不意打ちにもほど近い言葉の始まり方に、俺は自分の胸の鼓動を抑えきれそうにはなかった。俺の耳元に唇を寄せ囁きかける体勢になった藤ヶ谷からは甘い香りがする。
「・・・お前のことが・・・だい・・・っ！？」
「えっ・・・！？」
　不意に藤ヶ谷が俺の肩を掴み、腕の長さの分だけパッと距離を置かれてしまった。そして、すぐさま離れていく手――俺は驚きを隠せず瞳の瞬きを大きく何度も繰り返した。
「・・・あ」
　もうちょっとだけこのままの体勢でいたかったのに――そういえば、遅刻するかもと部室まで走ってきたんだった、と俺は自分が微妙に汗ばんでいたのを感じた。だから、引き離されたのかな、と少し不安げに藤ヶ谷を見つめていると――

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