カップル玉北編 10 side:T ページ10
10 side:T
そんな横尾さんなので先に言っておこう、と思い、俺とミツが付き合い始めたことを横尾さんに報告したときなんか――
“えっ、俺は絶対に反対!みっちゃんはもっと誠実な感じの人とお付き合いをして欲しい・・・そう例えば太輔とか太輔とか太輔とか・・・!!”
ガヤは何人いるんだか、と俺はツッコミを入れ、ミツはその言葉を冗談として捉えたようでクスクス笑っていた。というか、俺のこと遠回しに不誠実って言っているようなものだよね、失礼な!
いや、俺の身体があるから隣は空いてねー!と心の中で叫び、俺はミツにしがみついたが、いつの間にか宮田がどかされており、一番後ろの席は一つ空いている状態になっていた。裕太、席詰めてあげて、と横尾さんがジェスチャーをするが、ミツは幸い眠りの中だ。俺はふるふると首を振って見せる。
「・・・玉ちゃん、寝てるから難しいかも・・・」
横尾さんがムスッと不機嫌な顔をしたのは分かった。それでもミツには優しいのは知っているからできるだけ可愛らしく甘えるように声をかけると、しょうがないか、と横尾さんは諦めたように呟く。ガヤにごめん、と声をかけている。渦中のガヤは顔色一つ変えず、空いているミツの横に座った。
「・・・(まぁ、今はある意味、ミツの隣って言えば隣に座ってらっしゃいますけどね)」
そういえば、と俺はガヤの整った横顔を見つめる。横尾さんが二人をくっつけようと盛り上がっているのは分かっていたけど、実際ガヤの気持ちはどうなんだろう――聞いたことはなかったな。そして、ミツと親密そうな話をしていたというのもすごく気になる。
そういう意味では隣通しに座れば良かったかな、と思った。不意にガヤが俺に視線を送り、目が合った瞬間に俺は思わず逸らしてしまった。それでいて、もう一度ゆっくりと顔を戻すと、まだガヤはこちらを見つめており、目が合うと少しだけ口元を緩ませた。
「・・・(うーん、怪しい。ミツにガヤにあまり近づかないように言わないと)」
「・・・早く、裕太起きないかなぁ〜」
優し目な口調だが、実際に声をかけられている俺としてはプレッシャーが半端ない。少しでも俺の落ち度を見つければ――二階堂との件もそうだが、容赦なく攻めてくるだろう。横尾さんも要注意となると、本当に今日の撮影は気を抜けない。今日は一日ミツから離れないようにしよう。
「・・・(あれ、そういえば今日の撮影って何だったっけ・・・?)」
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年1月15日 0時