カップル玉北編 9 side:T ページ9
9 side:T
「・・・(やべー、ばれたかと思った)」
薄っすらと目を開けてみると二階堂に対して俺の姿で怒るミツ。寝ぼけたふりをしてミツを俺の隣に取り戻したものの、心臓の音がやばすぎてさすがに眠りにはつけそうになかった。反対に俺の姿のミツはウトウトとし始めているようだった。
誓って俺も二階堂とそんなことになるわけがない。ただ、単純に言葉にすると、内容的に非常にまずい結果になるのは目に見えている。ただでさえ、入れ替わるというよく分からない状況に陥っているのに、これ以上ミツを混乱させるわけにはいかない。そのためには――
「みんな、おはよ」
落ち着いた雰囲気で横尾さんが車に乗り込んでくる。おはよー、と半分以上眠っているミツ以外の全員で手を挙げて応える。乗り込んで俺たちの前に座った横尾さんは、振り向いてにっこり微笑む。
「・・・(ミツ、横尾さんに聞いたって言ってたな・・・何とかしないと)」
二階堂と一緒にいるとき、偶然横尾さんに遭遇した。きちんと事情は説明したはずなのに、ミツがあんなに怒ったということは、ミツに肝心なところを説明してくれていない可能性が高い。となると、やっぱり――一番見られてはいけない人に目撃を許してしまった、と俺は頭を抱えた。
「みっちゃん、もうすぐ太輔くるからね」
そうしたら隣に座らせるから、と満面の笑みでこちらに呼びかける。中身が俺だと分かっていれば絶対に見せない笑顔――そう横尾さんは俺とミツが付き合ってからも決して諦めようとはしてくれない――
――ミツとガヤをくっつけることを・・・!
「おはよー、俺、最後か」
颯爽とガヤが乗り込んでくると、完全に寝息を立て始めているミツ以外の全員が、おはよう、と声をかける。
「太輔!ほら、みっちゃんの隣が空いてるよ!」
ガヤが車に入ってくるなり、俺たちの座っている後部座席を指差して、早く早く、と手招きをする。そう、横尾さんは言うなればまるでガヤを甘やかしすぎる過保護な母親のような位置づけなのだ。それでいてミツのこともとっても可愛いものだから、大切な息子の嫁はミツしかいない、とでも言わんばかりに事あるごとに俺たちの――いや、ほとんど俺に妨害工作を働いてくる。
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作者名:ほわわ | 作成日時:2018年1月15日 0時